飲み会は、盛り上がったままお開きになった店を出て夜風にあたると、酔ってもいないのにやけに頭がフワフワしていた。
「じゃあねー、広瀬くん、三上くん!」
「お疲れ様でーす!」
美咲さんたちと駅前で別れる。
ぞろぞろと散っていく他のバイトたちを見送り、俺と隼人だけが同じ方向に向かって歩き出した。
さっきまでの騒がしさがウソみたいに夜道は静かだった。
「つーか、なんだよ。あれ」
「ん?」
「陽の頬、触っていいのは俺だけなんでって……あんなこと言ったら俺たちが付き合ってるってバレるだろうが!」
しかし隼人は、特に気にする様子もなく涼しい顔で答えた。
「別にあれくらいで本気で付き合ってるなんて思われないって」
「いや、絶対みんな怪しんでたね!?」
「陽はちょっと気にしすぎ。男子大学生がわちゃわちゃしてるようにしか映らないって」
あっけらかんと言い放つ隼人に、俺は言葉を詰まらせる。

