「やった。……じゃあ、三上くんは?」
全員の視線が、黙ってカバンに荷物を詰めている隼人に集まる。
隼人って普段から大人数で集まるの、あんまり参加してるイメージないよな。
高校の時だって、クラスの打ち上げとか平気でスルーしてたし。
隼人はスマホをポケットにしまうと、チラリと俺を見て答えた。
「……俺も、行きます」
「やったー!!」
「三上くん来るの珍しい!」
こうして俺と隼人は飲み会に参加することになった。
バイト先のみんなで訪れたのは駅前の居酒屋だった。
金曜の夜ということもあって店内は活気に満ちている。
店員に案内された座敷席へぞろぞろと上がっていくと、俺はどこに座るべきか迷って立ち尽くした。
端っこにしておこうかな……。
なんて思いながら視線を彷徨わせていると、ふいに手首を掴まれる。
「……陽はここ」
隼人は短くそう告げると、自分の隣の座布団をポンと叩いた。
「お、おう」
俺はヒヤヒヤしながら周りを見ていた。
隼人気を付けろよ。
俺たちが付き合ってるってバレたら色々面倒なことになるんだからな。

