バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?


それから人がどんどんまばらになっていって、暇な時間が増えてきた。
お客様さんが入ってくる時はベルが鳴るようになっているから、手が開いたらカップの補充をするようにって言われている。
カップを手に持ちながら作業をしていると、後から出勤してきた美咲さんに言われた。

「てか広瀬くんと三上くんって、仲良いよね。なんかふたりだけの特別な空気感があるっていうの?」

──ギクッ!

も、もしかして美咲さんにバレた!?
いや、そんなはずは……!

「え、あ、いや、そんな……!教育係、だしっていうのもあるんすかね?あはははは」

俺が必死に取り繕って顔を引きつらせていると、俺の斜め後ろから隼人があっさりと答えた。

「はい。高校も同じだったんで」

おまっ……!さらっと!はいとか言うなよ!
付き合ってることバレたらどうすんだよ!

「へえー、そうなんだ!どうりで息ピッタリなわけだ」

美咲さんはうんうんと頷きながら聞いて目線を逸らした。

「あっ、そろそろ片付け準備か。私に行ってくるね」

美咲さんは、その場を去っていく。

「お前……さっきの危なかっただろ!」
「……なにが」