「でも……このままでいいって思ったクセに隼人が服部さんと楽し気に話してたり、他の人と話してるのみると、すげぇモヤモヤする……」
「陽……」
「俺、隼人に隣にいてほしい」
ハッキリと自分の気持ちを告げる。
「隼人のことがすきだ」
全部言った。
もう隠すことはなにもない。
すると。
ガサリ、と衣擦れの音が近づいてきた。
「……っ」
強い力で引き寄せられ、隼人に抱きしめられる。
俺は硬い胸板に顔を埋めた。
「ごめん、もう我慢できなかった」
隼人の匂いが、鼻腔いっぱいに広がる。
温かい隼人の体温。
震える俺の体にじんわりと伝わってくる。
「そんなこと思ってくれてたの?」
隼人の優しい声が俺の中に入ってくる。
俺は返事をせず、こくりと頷いた。
「……かわいいね、陽」
ドクン、ドクンと心臓が心地よい音を立てる。
「俺もさ、昔のこと……勘違いだって気づいて勝手に舞い上がってたんだ。陽も俺のこと好きだって。でも冷静に考えたら時間も空いてるし、新しい恋をするタイミングだっていくらでもあった。勝手にあんなことして……迷惑だよなって反省してた」
ぎゅう、と抱きしめる腕に力がこもる。
あいつの心臓の音が、俺の胸に直接響いてくるみたいだった。

