「うわー……」
最初はさあっと降っていた雨もすぐに強い音を立てて降るように変わった。
すると奥から美咲さんと同じ年の橋本さんもやってきた。
「やば、これ嵐じゃん……」
「なんか電車、止まっててタクシーもかなりの行列みたいよ」
美咲さんが顔をしかめる。
こんな大雨の中、カフェに来る人はそうそうおらず、全然人がいなくて楽なのはいいけど、帰りは地獄だ。
美咲さんも電車の二駅先から来ているから、帰るの大変そうだよな……。
そう思っていると、さらに奥から隼人が顔を出した。
「美咲さん、店長から連絡入ってます」
「OK」
美咲さんが電話に出ると、すぐに売り場に戻ってきた。
「店長からなんだけど、天候が危ないから、家が遠い人から上がってもらっていいかな?って……」
おお……まじか。
それって……。
「電車を使ってるのは私と橋本くんだから……」
つまりふたりは先に帰って、俺と隼人のふたりで閉め作業をするということ。
「ごめんね、ふたりだけでやらせるの申し訳ない……!」
「仕方ないですよ」

