話さないでほしい。
俺以外と親しく話したり、プライベートのことを話したりしないでほしい。
ああ、なんでこんなこと思っちまうんだろう……。
自分勝手な独占欲がモヤモヤ湧き上がる。
「そ、そっか服部さんも……読んでるのか」
俺は出来るだけ気にしてないみたいに言った。
隼人と服部さんが仲良く話している姿が脳裏に浮かぶ。
いやだ。
見たくない。
これ以上服部さんの話をしたくない。
俺はこみ上げるモヤモヤを必死に押し殺して口を開いた。
「へえ……いいじゃん。最近隼人と服部さんっていい感じだよな!仲良さそうだし、ふたりとも並んでいると絵になるつーか……お似合いだよ」
俺がそう告げた途端、隼人の顔から笑顔が消えた。
「……それどういう意味?」
ビクリと肩を揺らす。
「あ、いやその……最近見てていい感じだなって」
視線をさまよわせながら言うと、隼人は深くため息をつきながら言った。
「……もういいよ。陽の気持ちはよく分かったから」
そして俺たちは各自作業に戻ることになった。
もう一度も隼人が口を開くことはない。
こんなこと言いたいわけじゃないのに、自分でもうまくいかない……。
どうして俺、こんなになっちまうんだよ。

