それから俺は仕事に戻った。
俺は美咲さんと交代してレジに入る予定だ。
レジの裏で隼人が服部さんにコーヒーの作り方を教えている。
すると、そこに店長がやってきた。
「服部さん、ちょっといい? まだ見せてないコンプライアンスのビデオがあったの思い出して」
「あ、はい!」
「今お客さんいないし、今のうちに見ておこうか。三上くん、広瀬くん、悪いけど少しの間二人でカウンターお願いね」
「……はい。分かりました」
服部さんは店長についていき、奥の事務所へと消えていった。
隼人が俺の隣に立つ。
店内のBGMだけが、やけに大きく聞こえる。
(ふたりで立つのはいつぶりだろう……)
俺は逃げるように、コーヒーマシンの清掃を始めた。
隼人はレジの横で、ストローの補充をしている。
背中合わせの距離。
前までなら色々人が来ない間に話したりしてたのに、今は息が詰まるほど重苦しい。
どうしてこうなっちまったんだろう……。

