闇サイトハンター

 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========

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 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==


 山並郁夫とは、俺のこと。
 俺は、『殺しの請負人』、いや『殺し屋』になる筈だった。
 長い間、あちこちに『傭兵』で参加していた俺は、あるコミックを読んで『殺し屋』になることにした。
 ところが、人生、思ったようにはいかない。

 だが、「闇サイトハンター」になって、俺は変わった。
 「影の正義の味方」になるのだ。
 大文字伝子様の為に。

 闇サイトは、ある程度時間開いて、閉じる。まるでモグラのように。
 それに、「年中暇な」若者が引っかかる。まるで「疑似餌」に魚が飛びつくように。
 超一流ハッカーの俺は、その「開いて閉じる」サイトの様子を記録するシステムを開発した。年中24時間見張っている訳にはいかないからだ。

 闇サイトが大流行りだ。
 だが、そのお陰で真サイトであるSNSも大流行だ。

 ある日の午後1時。実は総子様の事件(EITO大阪支部の事件)の翌日だ。
 気まぐれに、釜揚げしらすを食べたくなって、スーパーに寄ったら、釜揚げしらすは残念ながら売り切れていた。バックヤードにある場合もあるが、今日は止めておくことにした。
 バイトしたことのある経験者から言わせて貰うと、店の品物が魔法のように陳列されると勘違いしている人間は意外と多い。特にマスコミ、テレビの人間は。
 開店3時間から4時間前から、必死に陳列していくのが仕事なのだ。
 「目指す商品棚」に行き、「ご覧下さい。棚に賞品が1つもありません。」と騒ぐ。
 陳列前と品切れとは違う。視聴者に錯覚させているのだ、わざと。そして、故意に品薄・品切れを起こす。
 買い占めて儲ける転売ヤーと変わりない。
 ところで、知ったかぶりの婆さんが、『ちりめんじゃこ』と変わりないから、これ買えって命令してきた。
 こっちは別に急がないし、食品としては別物だよ、と優しく言ったら、切れた。
 そこに、伝子様が現れた。天使だ。
 伝子様と高遠氏は、常連らしい。
 すぐに店員が、バックヤードに連絡して、釜揚げしらすの「二便」を運んでくれた。
 ババアは悪態ついて、去った。
 ところが、伝子様とファミレスで情報交換して帰って来たら、俺と同じ機種のバイクに乗った、俺と同じ黒の革ジャンを着たヤツが、あのババアに刺された。
 後で聞いた話だが、那珂国人らしい。道理で切れやすかった筈だ。

 おっと、今日の収穫は情報だけじゃ無かった。
 伝子様が、いつ危険な目に遭うか分からないから、と自分のDDバッジを渡してくれた。
 嬉しくて、今日は眠れないぜ。

 ゴメンよ、姉貴。姉貴に心も体も預けることが出来ないのは、伝子様あってのことだ。
 俺は「手下」でもいいんだ。お役に立てればな。

 あー、嬉しい。

 ―完―