======== この物語はあくまでもフィクションです =========
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
※このエピソードは、「大文字伝子の冒険375」のエピソードに関連しています。
山並郁夫とは、俺のこと。
俺は、『殺しの請負人』、いや『殺し屋』になる筈だった。
長い間、あちこちに『傭兵』で参加していた俺は、あるコミックを読んで『殺し屋』になることにした。
ところが、人生、思ったようにはいかない。
俺には俺のやり方がある。「全ては大文字伝子の為に」。
かっこつけてもナア。世間的には、プー太郎のオッサンだしなあ。
コンビニに向かう途中、珍しく鯉のぼりを見た。
4匹?吊るし過ぎだろう?竿も立派みたいだが。親のエゴか?
ああいうのって、子供が成長してくると、子供から「もう止めて欲しい」と言われて、お披露目終いをするらしい。
イジメの原因にもなるしなあ。「鯉のぼり男の癖に」って。
柏餅を買ったら、「ついでにこれも。」と義姉が言った。
「背比べする時、ちまき食べるんでしょ?」
「決まってねえし。」「せいくらべしよう。」
はいはい。つまんないことに拘るなあ。義姉貴は。
帰り道、「柱に傷つけたら、美観損ねるぜ。」と言ったら、「じゃ、テープ貼る。養生テープ。」と返された。
成程。工事する人や引っ越し屋がよく使うが、最近は、セロハンテープみたいな養生テープが売っている。女子高生が製造工場に直談判して作らせたことで有名だ。カラフルで可愛い。確かに傷はつかない。剥がしやすいし。
義姉は、意外と頭がいい。
だから、風俗も拘らず簡単に辞めたし、亡き夫のプロポーズも断らなかった。
「財産目当て」と散々言われたが、実は頭がいいからだ。
相思相愛は、見せかけでは無かった。
だからこそ、亡くなった時、大袈裟に泣いたりはしなかった。
人は「色眼鏡」をかけると、あまり外そうとしない。
1分泣こうと1時間泣こうと「演技が上手い」と揶揄される。
その頃、俺は外国にいて、交流が途絶えていたが、再会したときの目尻の皺で真相は理解出来た。
帰ると、義姉はいそいそと準備を始め、俺を柱の前に立たせた。
そして、浅黄色の養生テープを背の高さと同じ位置に貼った。
「今度、郁チャンが貼って。」
俺は、義姉の横に立って、指定された青紫色の養生テープを貼った。
見比べて、「12センチくらいかな?」と言ってメジャーを持って来た。
ぴったり12センチだった。
驚いている俺に、義姉は「美容師の勉強をしているの。美容師ってね、『目分量』が確かでないといけないのよ。今からじゃ無理かな?」
「そんなことは無いよ。義姉貴は頭良いし、上達も早い。サロン開いたら、商売繁盛だよ。」
「ありがとう、郁チャン。20センチになったり10センチに戻ったり、男は大変ね。帰る前に、お好み焼き食べようね。」
「え???ああ、その材料だったんだ。俺、料理出来ないからイメージ湧かなかった。」
にっと笑った義姉は、「スキ!!」と言ってキッチンに向かった。
―完―
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
※このエピソードは、「大文字伝子の冒険375」のエピソードに関連しています。
山並郁夫とは、俺のこと。
俺は、『殺しの請負人』、いや『殺し屋』になる筈だった。
長い間、あちこちに『傭兵』で参加していた俺は、あるコミックを読んで『殺し屋』になることにした。
ところが、人生、思ったようにはいかない。
俺には俺のやり方がある。「全ては大文字伝子の為に」。
かっこつけてもナア。世間的には、プー太郎のオッサンだしなあ。
コンビニに向かう途中、珍しく鯉のぼりを見た。
4匹?吊るし過ぎだろう?竿も立派みたいだが。親のエゴか?
ああいうのって、子供が成長してくると、子供から「もう止めて欲しい」と言われて、お披露目終いをするらしい。
イジメの原因にもなるしなあ。「鯉のぼり男の癖に」って。
柏餅を買ったら、「ついでにこれも。」と義姉が言った。
「背比べする時、ちまき食べるんでしょ?」
「決まってねえし。」「せいくらべしよう。」
はいはい。つまんないことに拘るなあ。義姉貴は。
帰り道、「柱に傷つけたら、美観損ねるぜ。」と言ったら、「じゃ、テープ貼る。養生テープ。」と返された。
成程。工事する人や引っ越し屋がよく使うが、最近は、セロハンテープみたいな養生テープが売っている。女子高生が製造工場に直談判して作らせたことで有名だ。カラフルで可愛い。確かに傷はつかない。剥がしやすいし。
義姉は、意外と頭がいい。
だから、風俗も拘らず簡単に辞めたし、亡き夫のプロポーズも断らなかった。
「財産目当て」と散々言われたが、実は頭がいいからだ。
相思相愛は、見せかけでは無かった。
だからこそ、亡くなった時、大袈裟に泣いたりはしなかった。
人は「色眼鏡」をかけると、あまり外そうとしない。
1分泣こうと1時間泣こうと「演技が上手い」と揶揄される。
その頃、俺は外国にいて、交流が途絶えていたが、再会したときの目尻の皺で真相は理解出来た。
帰ると、義姉はいそいそと準備を始め、俺を柱の前に立たせた。
そして、浅黄色の養生テープを背の高さと同じ位置に貼った。
「今度、郁チャンが貼って。」
俺は、義姉の横に立って、指定された青紫色の養生テープを貼った。
見比べて、「12センチくらいかな?」と言ってメジャーを持って来た。
ぴったり12センチだった。
驚いている俺に、義姉は「美容師の勉強をしているの。美容師ってね、『目分量』が確かでないといけないのよ。今からじゃ無理かな?」
「そんなことは無いよ。義姉貴は頭良いし、上達も早い。サロン開いたら、商売繁盛だよ。」
「ありがとう、郁チャン。20センチになったり10センチに戻ったり、男は大変ね。帰る前に、お好み焼き食べようね。」
「え???ああ、その材料だったんだ。俺、料理出来ないからイメージ湧かなかった。」
にっと笑った義姉は、「スキ!!」と言ってキッチンに向かった。
―完―


