国家の辺境要塞。荒涼とした戦場跡地に建つこの施設は、違反者訓練の前線拠点でもあった。外敵の脅威が迫る中、ここでは訓練された「矯正者」たちが、秩序の盾として戦う。オジェ=ル=ダノワは、いつものように怜悧冷徹な視線で要塞の壁を巡回していた。チェーンソー型白銀大斧「べフロール」を肩に担ぎ、護身用の白銀ナイフ「コルタン」を腰に差す。予備の斧「マルシュヴァレー」は、要塞の武器庫に置かれていた。彼は感情を排し、ただ効率を求める男。違反者訓練担当官として、痛みを秩序の道具に変える。

その日、轟音が要塞を揺るがした。総司令官ガーレブの到着だ。「The War Banner」と呼ばれる男は、乱れた白髪に闘志を宿す白眼を輝かせ、豪快に笑いながら馬を駆っていた。力こそが正義と信じる彼にとって、戦場こそが舞台。短気で単純明快だが、仲間には深い情を見せ、義理堅さで知られる。
信条は「力こそすべて」
荒々しくも人間味の濃い豪漢で、勝利への執念は並外れていた。不器用ながらも真っすぐな信念が、彼を軍の象徴にしていた。

ガーレブは馬から飛び降り、オジェに声を張り上げた。
「オジェ! 訓練の成果はどうだ? 奴らを戦場に放てば、敵を粉砕できるか?」

オジェは頷き、淡々と報告する。
「訓練完了率、95% 違反者たちは秩序を植え付けられた。べフロールで最終調整を終えた」
彼の声は機械的。戦場はただの延長線上。感情は不要だ。

ガーレブは大笑いし、オジェの肩を叩く。力強い一撃に、オジェの体がわずかに揺れる。
「ははは! 冷たい奴だな、お前は! だが、それがいい。僕は力で勝つ。お前は頭で勝つ。共に戦えば、無敵だ!」
短気な彼は、すぐに本題に入る。
「敵が迫ってる。奴らは乱れ者だ。力で叩き潰せ!」

オジェは斧を握りしめ、疑問を口にする。
「司令官。力だけでは秩序は保てない。訓練なくして、ただの蛮力だ」

ガーレブの白眼が燃える。
「ふん! 力こそすべてだ! 戦場で輝くのは、怒声と笑いだ。仲間を思い、義理を果たせば、勝利は来る!」
彼の声は熱く、情熱的。だが、その奥には不器用な優しさが潜む。かつての戦いで失った仲間たちの顔が、脳裏に浮かぶ。荒々しい外見とは裏腹に、彼は仲間思い。オジェのような冷徹な男を、密かに信頼していた。
「お前のような怜悧な奴がいなけりゃ、僕はただの獣だ。だが、一緒なら、国家を守れる」

突然、敵の砲撃が要塞を襲う。爆音が響き、違反者たちが慌てて武器を構える。オジェは即座にコルタンを抜き、冷静に指示を出す。
「陣形を整えろ。無駄な動きは排除」

ガーレブは斧を振り上げ、咆哮する。
「来い、敵ども! 力でぶっ潰すぞ!」
彼は先頭に躍り出し、豪快に戦う。オジェは後方から支援し、べフロールのチェーンソーが唸りを上げる。マルシュヴァレーを予備に持ち替え、効率的に敵を制圧していく。

戦いが終わると、ガーレブは息を荒げ、オジェに笑いかける。
「どうだ? 力と頭の合わせ技だ。仲間として、悪くないだろ」

オジェは無表情に頷くが、心の中で思う。ガーレブの熱血は、己の冷徹さを溶かす炎か? 力の咆哮は、秩序の鎖を強固にする。だが、その炎がいつか燃え尽きぬよう、二人は共に戦うのだった。