「ねぇ、覚えてる? 初めて相合傘した日のこと」
 ふと、君が訊いてきた。
「うん。あの時、もう雨止んでたのにね」
「雨に濡れたくなかったんだよ」
「は?」
 意味が分からず、問い返す。
 すると、君は悪戯っぽく笑って。
「相変わらず鈍いね、君は」
 僕の頬に、キスをした。