終電を逃して、彼と駅で話した夜。
「送ってくよ」と笑う彼に、言えなかった言葉が喉でつかえる。
「ありがとう」しか出てこない。
 別れ際、背中越しに小さく呟いた。
「好きだよ」
 電車の走る音にかき消されたと思ったのに。風の向こうから、彼の声が聞こえた。
「俺も」