第1章 規則的な交差点
午後7時02分、ガシャバは区役所通り東の交差点に立っていた。信号が青に変わるまであと23秒。彼の白色の瞳は、数字の減る歩行者用信号を捉え、呼吸と同じ規則性で瞬きをする。
「あの…すみません」
声の主は、ヒールの折れた靴を手に持ち、片足だけストッキングで立つ女性だった。マリナと名乗るOLは、終業後の帰路でアクシデントに見舞われていた。
「最寄りの駅までどう行けばいいか…」
ガシャバの回答は、彼の存在そのもののように無機質だった。
「この信号を渡り、200メートル直進。コンビニを右折。駅まで350メートル」
マリナはため息をついた。
「それ、地図アプリと同じですね」
(イギリスのタクシーかよ!)
ガシャバは眨いた。信号が青に変わる。15秒。
「私の靴、直せるでしょうか?」
ガシャバはマリナの手にある靴を見つめた。5秒間の観察後、彼は警備員として携帯する簡易工具キットを取り出した。
「修理可能です。所要時間3分」
信号は赤に戻り、またカウントダウンが始まった。
午後7時02分、ガシャバは区役所通り東の交差点に立っていた。信号が青に変わるまであと23秒。彼の白色の瞳は、数字の減る歩行者用信号を捉え、呼吸と同じ規則性で瞬きをする。
「あの…すみません」
声の主は、ヒールの折れた靴を手に持ち、片足だけストッキングで立つ女性だった。マリナと名乗るOLは、終業後の帰路でアクシデントに見舞われていた。
「最寄りの駅までどう行けばいいか…」
ガシャバの回答は、彼の存在そのもののように無機質だった。
「この信号を渡り、200メートル直進。コンビニを右折。駅まで350メートル」
マリナはため息をついた。
「それ、地図アプリと同じですね」
(イギリスのタクシーかよ!)
ガシャバは眨いた。信号が青に変わる。15秒。
「私の靴、直せるでしょうか?」
ガシャバはマリナの手にある靴を見つめた。5秒間の観察後、彼は警備員として携帯する簡易工具キットを取り出した。
「修理可能です。所要時間3分」
信号は赤に戻り、またカウントダウンが始まった。



