「う~ん、およそ300ってとこか」
「けっこういるっすね」
「さ、さ、さ、さんびゃくぅうう! しかも上位種いっぱぃいい!」
突如として湧いて出てきた魔物たち。リンナが率いる本隊が無事に森を抜けられるよう、俺たちはこの場に残り魔物を迎え撃つ。
ここにいるのは俺とバレッサ、そしてレイニの3人だ。
「よ~し、聖騎士やってて、ようやくそれっぽい場面になったってきたぞ~」
聖女を守る。これが俺の本来の仕事だ。
まあ正直ピンチとまではいえんが……頑張るぞ、おっさん。
「300ってことは……俺は正面の100匹をやる、左100匹をバレッサ、右100匹をレイニでいくか」
「はいっす先輩、手があいたら手伝いよろしっくす」
「ああ、もちろんだバレッサ」
いい面構えだなバレッサ。
彼女は魔物討伐バイトでも一緒だったし、聖騎士になってからも鍛錬を怠っていない。まあこの程度なら、問題ないだろう。
レイニの方は……なんか足がガクガクしているが。トイレいきたいのか?
「ふぁああ……とうぜんのように3等分されてるぅうう」
「え、だって魔物300匹÷3人は100匹だろ? 俺の計算あってるよな?」
ヤバい、もしかして算術間違えているのか? おっさんも一応学校出たんだけどな。ド田舎の小さな学校だが。
「合ってますけどぉぉ! そうですけどぉおおお、でもでもそうじゃなくてぇぇ!」
まあ、気配や先頭の魔物を見る限りたいした魔物はいない。数もふつう。俺が住んでいた魔の森では日常的に出てくる程度の数だ。なんかいつも通りな感じしかしないが。
「2人とも、いつも通りやれば大丈夫だ」
「はいっす、あたしの連射速度でいけるとこまでやってみるっす」
「いつもどおりで、どうにかなる気がしないぃいいい!」
いったいどうしたんだレイニは?
「かたいぞレイニ。もっとリラックスしないと、ケガするからな」
「過去最高にガチガチなんですぅうう。ケガどころの心配じゃないんですぅうう!」
どうしたんだレイニは。仮にも聖騎士ならこの程度、余裕だろ。
「先輩、レイニは武者ぶるいっす」
「なるほど、実はワクワクしているくちか、なら問題ないな。
よし、学園聖騎士隊――――――いくぞ!」
「問題だらけですけどぉおお! もぅううやけだぁ! レイニいきまぁ~~~す!!」
おお、レイニのやつ、一番槍をとりにいったか。
なるほど、本当にいきたくてたまらなかったわけだ。
「ギュルゥウウウ!」
「もぉぉ! 好き勝手にいっぱい出てきて! おしおきの【加護】発動ですぅ!」
さきほどまで彼女が出していた雰囲気とは一変。なにかを詠唱しながら、すごい速度で魔物との距離を詰めるレイニ。
「聖女よ、我が声に応えよ。その加護、今こそ月影をまとい沈黙の刃を敵の心へ!
――――――月影の聖短刃!」
なんと、走りぬく彼女のまわりに透き通るような短剣が数本現れたではないか。
おお、これがレイニの【加護】か……!
「ギュラァアアア」
「はぁっ――――――!!」
彼女が魔物の攻撃をひらりと躱したかと思えば……
「ギュハァ……?……アアァ……ァ」
ズーンとその場に倒れる魔物。
さきほどレイニの周りに浮遊していた透明の短剣が、魔物の急所に刺さっている。
「かっけぇええ……」
「レイニの【加護】は綺麗っすね。
彼女の短剣は景色にまぎれ音もなく接近して、静かに一撃を突き立てるっす」
「魔法で短剣だすとか、すげぇ……」
「じゃ、先輩。あたしもいくっす!」
そう言って、今度はバレッサが【加護】を発動し始めた。
「聖女よ、我が声に応えよ。その加護、今こそ熱き矢と化せ……!
――――――聖高速火矢!」
バレッサの連射した矢が赤く燃える。これは訓練場でも見たやつだな……こっちもかっこいいなぁ。
「へへっ、先輩。これから3カ月の修行の成果、見せるっす!」
そういったバレッサは、背中に担いだ矢を出す。なぜか2本だ。
まさか……同時に射るつもりか……。
「ふぅうう……
――――――二重聖高速火矢!!
いっけぇえ――――――っす!」
うぉおお、二本同時にでたぁあ!
しかも別々の魔物に命中して、同時に倒してしまったではないか。
す、すげぇええ……
これは【加護】の力だけではない。相当な弓術と集中力がなければできない芸当。
う~~む。やはりこの子達は、ただの美少女ではない。
おっさんも学ばねばならん。
では、まずは―――
レイニの急所を的確に突く攻撃から。
「ぬんっ!」「ぬんっ!」「ぬんっ!」「ぬんっ!」「ぬんっ!」
とりあえず、こちらに寄って来た5体の魔物を木刀で打ってみた。
一瞬でその場に崩れ落ちる魔物たち。
……うん、なんか違う。
いかんせんこの魔物たちが弱すぎて、出来てるのかわからん。
「ギャギュウウウ!」
「ギョラァアアア!」
そうだ、レイニのはもっとこう色んな角度から……
「ぬんっ!」「ぬんっ!」「ぬんっ!」「ぬんっ!」「ぬんっ!」
ちょっと角度をいろいろ変えて、木刀を打ち込んでみた。
また一斉に崩れ落ちる魔物たち。
「どうだレイニ? 魔物の急所を的確にとらえたかな?」
「えっと……急所っていうか、ボクレンさんの木刀はどこに当ったても即死してますよ……」
「くっ……やはり一朝一夕では無理か……」
「いやいや、もう急所とかいいんで! 普通に木刀振るだけでいいと思います!」
そう言って別の魔物に向かっていったレイニ。
むぅ……おっさんにはまだ早いってことか。
いやいや―――あきらめるのは早い。
ここで向上心を捨ててはダメだ。
一生懸命なセシリアたちと一緒に過ごしていく中、おっさんとて成長の余地は少しぐらいあるかもしれんと思えるようになってきたからな。
では今度はバレッサの二重攻撃だな。
やってみよう!
「けっこういるっすね」
「さ、さ、さ、さんびゃくぅうう! しかも上位種いっぱぃいい!」
突如として湧いて出てきた魔物たち。リンナが率いる本隊が無事に森を抜けられるよう、俺たちはこの場に残り魔物を迎え撃つ。
ここにいるのは俺とバレッサ、そしてレイニの3人だ。
「よ~し、聖騎士やってて、ようやくそれっぽい場面になったってきたぞ~」
聖女を守る。これが俺の本来の仕事だ。
まあ正直ピンチとまではいえんが……頑張るぞ、おっさん。
「300ってことは……俺は正面の100匹をやる、左100匹をバレッサ、右100匹をレイニでいくか」
「はいっす先輩、手があいたら手伝いよろしっくす」
「ああ、もちろんだバレッサ」
いい面構えだなバレッサ。
彼女は魔物討伐バイトでも一緒だったし、聖騎士になってからも鍛錬を怠っていない。まあこの程度なら、問題ないだろう。
レイニの方は……なんか足がガクガクしているが。トイレいきたいのか?
「ふぁああ……とうぜんのように3等分されてるぅうう」
「え、だって魔物300匹÷3人は100匹だろ? 俺の計算あってるよな?」
ヤバい、もしかして算術間違えているのか? おっさんも一応学校出たんだけどな。ド田舎の小さな学校だが。
「合ってますけどぉぉ! そうですけどぉおおお、でもでもそうじゃなくてぇぇ!」
まあ、気配や先頭の魔物を見る限りたいした魔物はいない。数もふつう。俺が住んでいた魔の森では日常的に出てくる程度の数だ。なんかいつも通りな感じしかしないが。
「2人とも、いつも通りやれば大丈夫だ」
「はいっす、あたしの連射速度でいけるとこまでやってみるっす」
「いつもどおりで、どうにかなる気がしないぃいいい!」
いったいどうしたんだレイニは?
「かたいぞレイニ。もっとリラックスしないと、ケガするからな」
「過去最高にガチガチなんですぅうう。ケガどころの心配じゃないんですぅうう!」
どうしたんだレイニは。仮にも聖騎士ならこの程度、余裕だろ。
「先輩、レイニは武者ぶるいっす」
「なるほど、実はワクワクしているくちか、なら問題ないな。
よし、学園聖騎士隊――――――いくぞ!」
「問題だらけですけどぉおお! もぅううやけだぁ! レイニいきまぁ~~~す!!」
おお、レイニのやつ、一番槍をとりにいったか。
なるほど、本当にいきたくてたまらなかったわけだ。
「ギュルゥウウウ!」
「もぉぉ! 好き勝手にいっぱい出てきて! おしおきの【加護】発動ですぅ!」
さきほどまで彼女が出していた雰囲気とは一変。なにかを詠唱しながら、すごい速度で魔物との距離を詰めるレイニ。
「聖女よ、我が声に応えよ。その加護、今こそ月影をまとい沈黙の刃を敵の心へ!
――――――月影の聖短刃!」
なんと、走りぬく彼女のまわりに透き通るような短剣が数本現れたではないか。
おお、これがレイニの【加護】か……!
「ギュラァアアア」
「はぁっ――――――!!」
彼女が魔物の攻撃をひらりと躱したかと思えば……
「ギュハァ……?……アアァ……ァ」
ズーンとその場に倒れる魔物。
さきほどレイニの周りに浮遊していた透明の短剣が、魔物の急所に刺さっている。
「かっけぇええ……」
「レイニの【加護】は綺麗っすね。
彼女の短剣は景色にまぎれ音もなく接近して、静かに一撃を突き立てるっす」
「魔法で短剣だすとか、すげぇ……」
「じゃ、先輩。あたしもいくっす!」
そう言って、今度はバレッサが【加護】を発動し始めた。
「聖女よ、我が声に応えよ。その加護、今こそ熱き矢と化せ……!
――――――聖高速火矢!」
バレッサの連射した矢が赤く燃える。これは訓練場でも見たやつだな……こっちもかっこいいなぁ。
「へへっ、先輩。これから3カ月の修行の成果、見せるっす!」
そういったバレッサは、背中に担いだ矢を出す。なぜか2本だ。
まさか……同時に射るつもりか……。
「ふぅうう……
――――――二重聖高速火矢!!
いっけぇえ――――――っす!」
うぉおお、二本同時にでたぁあ!
しかも別々の魔物に命中して、同時に倒してしまったではないか。
す、すげぇええ……
これは【加護】の力だけではない。相当な弓術と集中力がなければできない芸当。
う~~む。やはりこの子達は、ただの美少女ではない。
おっさんも学ばねばならん。
では、まずは―――
レイニの急所を的確に突く攻撃から。
「ぬんっ!」「ぬんっ!」「ぬんっ!」「ぬんっ!」「ぬんっ!」
とりあえず、こちらに寄って来た5体の魔物を木刀で打ってみた。
一瞬でその場に崩れ落ちる魔物たち。
……うん、なんか違う。
いかんせんこの魔物たちが弱すぎて、出来てるのかわからん。
「ギャギュウウウ!」
「ギョラァアアア!」
そうだ、レイニのはもっとこう色んな角度から……
「ぬんっ!」「ぬんっ!」「ぬんっ!」「ぬんっ!」「ぬんっ!」
ちょっと角度をいろいろ変えて、木刀を打ち込んでみた。
また一斉に崩れ落ちる魔物たち。
「どうだレイニ? 魔物の急所を的確にとらえたかな?」
「えっと……急所っていうか、ボクレンさんの木刀はどこに当ったても即死してますよ……」
「くっ……やはり一朝一夕では無理か……」
「いやいや、もう急所とかいいんで! 普通に木刀振るだけでいいと思います!」
そう言って別の魔物に向かっていったレイニ。
むぅ……おっさんにはまだ早いってことか。
いやいや―――あきらめるのは早い。
ここで向上心を捨ててはダメだ。
一生懸命なセシリアたちと一緒に過ごしていく中、おっさんとて成長の余地は少しぐらいあるかもしれんと思えるようになってきたからな。
では今度はバレッサの二重攻撃だな。
やってみよう!

