ブーってなに? どういう判定?
それになんかミシって音も聞こえたぞ……
ええぇ……的ぉ、壊れてないよな。いや相当軽くやったんだ。
「ボクレン! なんだその情けない音は!」
リンナ副隊長の怒声がうしろから飛んできた。
「判定なしだと? 貴様ァ、手を抜くな!」
「う……いやその的が……」
「たしかに、今日から飛び入りのおまえのために、倉庫の奥から引っ張り出してきた年代物ではあるがな」
ほらぁ、やっぱりボロじゃないかぁ。たぶんぶっ壊れる寸前なんだよぉ……
「なあ副隊長。あれはけっこう高価だったりするのか?」
「まあ、家一軒ぐらいはたつな」
…………マジすか。
おっさんの想像をはるかに超える高額器具やないか。
ヤバいな……でも俺のためにわざわざ倉庫探しまくってくれたみたいだし。これしかないんだろう。
的を打った感覚的に思いっきりやるとぶっ壊れる……これは調整がムズイぞ。
などと焦っていると、再びリンナ副隊長の指示が飛んできた。
「よし、【加護】を使用しての一斉攻撃訓練にはいる! 号令に従え!」
リンナ副隊長の号令と共に、一斉に技を繰り出す聖騎士たち。
「――――――聖高速火矢!」
「――――――聖光槍撃!」
「――――――雷鳴聖剣裂!」
「――――――土属性大激斬!」
「―――ぬんっ!」
『ブーーーッ』
おお、光の槍かぁ~あっちは雷の斬撃。かっこいいな~。
みんな個性的な技を持っていて面白い。
ちなみに俺の的だけまた変な音でた……。
「もう一度だ! もっと気合を入れろぉ!」
リンナ副隊長の激励とともに、再度技を繰り出す俺たち。
「――――――聖高速火矢!」
「――――――聖光槍撃!」
「――――――雷鳴聖剣裂!」
「――――――土属性大激斬!」
「―――ぬんっ!」
『ブーーーッ』
またでた……
「だれだぁ! 変な掛け声だしているやつ……ふざけるな!」
「ウッホン、なにやら吾輩の隣からへんな声がきこえますなぁ」
ブロスの野郎……チクりやがった。
「また貴様かぁボクレン! 【加護】を使えといっているだろう……それにブーブーとふざけているのか!」
いや、ブーは的の問題でおっさんのせいじゃないんだが。
「クハハ、おっさん聖騎士殿は【加護】も使えんのか。いやもらってないのですかな、聖女セシリア殿~はやく【加護】を付与されてはどうか?」
「ブロス! あたしの話をさえぎるな! 貴様は自身の訓練に集中しろ!」
「これは失礼を副隊長……いやわたしも木刀殿が心配だったのでつい声をかけてしまいました」
おい、ちょっと待て。
「俺に……【加護】がないだと?」
「そうだボクレン。まだ発動していないなら、それは仕方のないことだがな。それなら通常の攻撃で……」
「【加護】ならすでにセシリアからもらっているぞ」
「……なにを言ってるんだボクレン?」
「クハハハ~ただ木刀を振っているだけのようにみえますぞ! ウソつきおっさん殿」
「何を言っている。正気か、ブロス? おまえは本当にわからんのか?」
「なんであるか? おっさんの世迷言もたいがいに……」
同じおっさんだろうが。本来なら美少女との接点など、なにもないはずのおっさんだろうが。
そんな天使に無縁なおっさんに、彼女は毎日顔を合わせるたびに笑顔をくれるんだぞ……
「あんな美少女から応援されて……燃えないおっさんが―――
――――――いないわけないだろ!
―――――――――ぬんっ!!」
一気に的まで間合いを詰めた俺は、木刀を寸分狂わず狙った場所へ打ち込んだ。
そう、的の真横すれすれだ。
少しずらしたから、的に直撃はしていないはず。
直撃はさせなかったが、かなり強めに振った。だから衝撃の余波が的を揺らしている。
『―――判定…………ダメージ300!』
よし! 壊れてないよな?
ブーも出てないし、これで完璧だろ。
「ひぃいいい、なんだぁこいつの振りぃいいい!」
おっさんの勢いに気圧されて尻もちをつくブロス。
「な、加護はすでにじゅうぶんもらっている。
だから――――――気合の入った一撃を放てるだろ」
「ひぃ! なんなのだこのおっさん……い、意味が分からん……」
そのまま地べたから起き上がれなくなったブロス。おっさん程度のやつなんざこの世にゴロゴロいるけどな。まあこいつもまだまだ勉強中ってことか。
「き、貴様……はんてい……さ、さんびゃく……だと」
「あらまあ~ふるい魔法的だから~~誤数値がでたのかしら~~それとも~~ボクレンさんのじつりょくかしら~~」
リンナ副隊長がなんかブツブツ言いだして……マシーカ先生まできて、さらにまわりもなんかざわつきはじめたけど……まさか!
俺は速攻で、的をなめまわすようにじっくり見る。
いや、大丈夫だ。壊れてない! 壊れてないよね! ブーもなかったし。
なにせ家一軒建つほどの高額器具だ。なにがあっても壊れちゃいけない。おっさんの人生が終わるからな。
ふぅ~~と安堵の息を吐いた、その瞬間―――
―――バキッ!
え? なに?
的……!? は大丈夫だな……
バキバキッ……
やだぁ……なんか嫌な音聞こえるぅ。聞き覚えのあるやつぅ。
変なところからぁ聞こえてきたぁあ。
よく見るとうしろの外壁が……
「――――――なんか外壁の【結界】にヒビ入ってるんですけどぉ! 学園長の【結界】にぃいいい! なんで! どういうこと! ねぇ、ねぇ、ねぇえええ!!」
間延びした口調が一瞬で消え去った。
やべぇ……またマシーカ先生壊れちゃった。
それになんかミシって音も聞こえたぞ……
ええぇ……的ぉ、壊れてないよな。いや相当軽くやったんだ。
「ボクレン! なんだその情けない音は!」
リンナ副隊長の怒声がうしろから飛んできた。
「判定なしだと? 貴様ァ、手を抜くな!」
「う……いやその的が……」
「たしかに、今日から飛び入りのおまえのために、倉庫の奥から引っ張り出してきた年代物ではあるがな」
ほらぁ、やっぱりボロじゃないかぁ。たぶんぶっ壊れる寸前なんだよぉ……
「なあ副隊長。あれはけっこう高価だったりするのか?」
「まあ、家一軒ぐらいはたつな」
…………マジすか。
おっさんの想像をはるかに超える高額器具やないか。
ヤバいな……でも俺のためにわざわざ倉庫探しまくってくれたみたいだし。これしかないんだろう。
的を打った感覚的に思いっきりやるとぶっ壊れる……これは調整がムズイぞ。
などと焦っていると、再びリンナ副隊長の指示が飛んできた。
「よし、【加護】を使用しての一斉攻撃訓練にはいる! 号令に従え!」
リンナ副隊長の号令と共に、一斉に技を繰り出す聖騎士たち。
「――――――聖高速火矢!」
「――――――聖光槍撃!」
「――――――雷鳴聖剣裂!」
「――――――土属性大激斬!」
「―――ぬんっ!」
『ブーーーッ』
おお、光の槍かぁ~あっちは雷の斬撃。かっこいいな~。
みんな個性的な技を持っていて面白い。
ちなみに俺の的だけまた変な音でた……。
「もう一度だ! もっと気合を入れろぉ!」
リンナ副隊長の激励とともに、再度技を繰り出す俺たち。
「――――――聖高速火矢!」
「――――――聖光槍撃!」
「――――――雷鳴聖剣裂!」
「――――――土属性大激斬!」
「―――ぬんっ!」
『ブーーーッ』
またでた……
「だれだぁ! 変な掛け声だしているやつ……ふざけるな!」
「ウッホン、なにやら吾輩の隣からへんな声がきこえますなぁ」
ブロスの野郎……チクりやがった。
「また貴様かぁボクレン! 【加護】を使えといっているだろう……それにブーブーとふざけているのか!」
いや、ブーは的の問題でおっさんのせいじゃないんだが。
「クハハ、おっさん聖騎士殿は【加護】も使えんのか。いやもらってないのですかな、聖女セシリア殿~はやく【加護】を付与されてはどうか?」
「ブロス! あたしの話をさえぎるな! 貴様は自身の訓練に集中しろ!」
「これは失礼を副隊長……いやわたしも木刀殿が心配だったのでつい声をかけてしまいました」
おい、ちょっと待て。
「俺に……【加護】がないだと?」
「そうだボクレン。まだ発動していないなら、それは仕方のないことだがな。それなら通常の攻撃で……」
「【加護】ならすでにセシリアからもらっているぞ」
「……なにを言ってるんだボクレン?」
「クハハハ~ただ木刀を振っているだけのようにみえますぞ! ウソつきおっさん殿」
「何を言っている。正気か、ブロス? おまえは本当にわからんのか?」
「なんであるか? おっさんの世迷言もたいがいに……」
同じおっさんだろうが。本来なら美少女との接点など、なにもないはずのおっさんだろうが。
そんな天使に無縁なおっさんに、彼女は毎日顔を合わせるたびに笑顔をくれるんだぞ……
「あんな美少女から応援されて……燃えないおっさんが―――
――――――いないわけないだろ!
―――――――――ぬんっ!!」
一気に的まで間合いを詰めた俺は、木刀を寸分狂わず狙った場所へ打ち込んだ。
そう、的の真横すれすれだ。
少しずらしたから、的に直撃はしていないはず。
直撃はさせなかったが、かなり強めに振った。だから衝撃の余波が的を揺らしている。
『―――判定…………ダメージ300!』
よし! 壊れてないよな?
ブーも出てないし、これで完璧だろ。
「ひぃいいい、なんだぁこいつの振りぃいいい!」
おっさんの勢いに気圧されて尻もちをつくブロス。
「な、加護はすでにじゅうぶんもらっている。
だから――――――気合の入った一撃を放てるだろ」
「ひぃ! なんなのだこのおっさん……い、意味が分からん……」
そのまま地べたから起き上がれなくなったブロス。おっさん程度のやつなんざこの世にゴロゴロいるけどな。まあこいつもまだまだ勉強中ってことか。
「き、貴様……はんてい……さ、さんびゃく……だと」
「あらまあ~ふるい魔法的だから~~誤数値がでたのかしら~~それとも~~ボクレンさんのじつりょくかしら~~」
リンナ副隊長がなんかブツブツ言いだして……マシーカ先生まできて、さらにまわりもなんかざわつきはじめたけど……まさか!
俺は速攻で、的をなめまわすようにじっくり見る。
いや、大丈夫だ。壊れてない! 壊れてないよね! ブーもなかったし。
なにせ家一軒建つほどの高額器具だ。なにがあっても壊れちゃいけない。おっさんの人生が終わるからな。
ふぅ~~と安堵の息を吐いた、その瞬間―――
―――バキッ!
え? なに?
的……!? は大丈夫だな……
バキバキッ……
やだぁ……なんか嫌な音聞こえるぅ。聞き覚えのあるやつぅ。
変なところからぁ聞こえてきたぁあ。
よく見るとうしろの外壁が……
「――――――なんか外壁の【結界】にヒビ入ってるんですけどぉ! 学園長の【結界】にぃいいい! なんで! どういうこと! ねぇ、ねぇ、ねぇえええ!!」
間延びした口調が一瞬で消え去った。
やべぇ……またマシーカ先生壊れちゃった。

