「ねえ、俺と友達やめないでね。これからも、今みたいに心配したままでいてほしい」
「……え?」
「俺を、葉月の特別にしておいて。ずうっと」

 ビチビチビチビチ、鯉の跳ねる音が気持ち悪いほど耳に残る。
 清永の手が伸びてくる。なぜか首を掴まれる気がして、余計に息が詰まる。

「僕の心配とか、……要らないんじゃ、なかったのかよ」
「ううん、要らなくない。葉月のそれって〝心配〟だったんだ~って分かったら、ちょっと考え変わっちゃった」

 もう何度もこの目で見ている異形の輪郭が、清永にぴたりと重なって見えて、ああ違う、重なるとかじゃなくて、今、清永は。

 目の前のそれ(・・)――おそらく清永だろうモノを、息を止めてひたすら凝視する。
 ひしゃげた、明らかに人間ではない輪郭。外で、それも誰の目があるか分からない場所で清永の輪郭が狂うのは、僕の知る限りでは初めてだった。

 清永が人間以外のなにかだという証明になり得るその見え方は、僕をどこまでも不安にさせる。