友達になった人気者が、人間じゃなかった話

 仲間と賭け。意外な話だった。
 そもそも仲間って誰だ。他の友人? 校内の人? 中学時代やそれ以前の友達、あるいは塾などで知り合った人だろうか。

 答えが出ないまま、そして本人からも詳細は告げられないまま、清永の話は続く。

「葉月のあれ(・・)、すごく役に立ってる」
「え……と、その賭けの中で?」
「うん。普通じゃない、特別なモノだから」

 す、と清永の目が細くなる。
 その賭けって誰としてるんだ、と訊こうとしたのに、直前で喉につかえた。ぐにゃりと歪む清永の輪郭を思い出し、声を出せなくなった喉が渇きを訴え始める。

 あんたは今なんの話をしている。その〝仲間〟って、本当に人間なのか。
 清永の黒目から分かりやすく視線を逸らした。それでもまだ見られている気がして、きつく瞼を閉じることでそれから逃げようとして、けれど。

「葉月。見て、俺のこと」

 なんで見てくれないんだ、と(とが)める調子に聞こえた。
 びくりと震えた僕は、閉じたばかりの瞼を開かずにはいられなくなる。

 おそるおそる隣に視線を向けると、清永はまっすぐに僕の目を覗き込んでいた。