友達になった人気者が、人間じゃなかった話

「要らないモノを俺に押しつけたって、まだ思ってる。俺が勝手に借りて勝手にパクったんだよ~気にすんなよ~って何回伝えても信じない。ねえ、それってなんで?」

 清永の喋り方は責める調子ではない。
 それなのに責められている気しかしなくて、僕は勝手にいたたまれなくなる。

「楽なほうに流されればいいだけだ。それが普通なのに、葉月はどうしてそうしないんだ?」

 強烈な西日が目を灼き続けている。
 灼かれているのは目なのに、痛むのは渇ききった喉の奥だ。なにも言えないまま、そのことを不思議に思う。

「俺はこれ(・・)が気に入って、欲しくなったから借りただけ。その前提を葉月はいっつも簡単に忘れちゃうんだよな」
「……それは」

 ガサガサに渇いた喉から、なんとか声を絞り出す。
 清永はすでに微笑んではいない。でも、黒目のぎらつきは変わらない。不気味なのに、怖くもあるのに、目が離せない。

 清永の化け物の部分が、僕を見つめて、捕らえて、まっすぐ刺している。

「分かった。こういう心配はもうしない」

 心配、と言いながら実感が湧いてくる。
 僕は清永が心配だったのだ。本当に。