友達になった人気者が、人間じゃなかった話

 伸びるふたり分の影が、異様に気に懸かる。
 泳がせた視線の先で、狭い川に反射した西日が目を刺した。灼けたオレンジ色が目に痛く、僕はたまらず瞼を(すぼ)める。

「葉月はいい奴すぎる。もう考えなくていいこと、ずっと考え続けて悩んでる」
「いや、僕は……」
「要らないものがなくなったら、『ラッキー』とか『運が良かった』とか『やっと自由だ』とか、別にそれだけでいいんだ」

 息が詰まる。頭の中身を、まるごと覗かれている感じがする。
 呆れ気味に喋る清永へ、僕はなかなか目を向けられない。静かに息をついてから、平静を装って尋ね返す。

「なんの話だ、さっきから」
「普通はそう考えるんだ、皆。人間ってそういうものでしょう」

 清永の顔を見られない。
 今は見たくない。どうしても。

『人間ってそういうものでしょう』

 そんな言い方はやめてほしかった。
 まるで、世界の外側から人間を見ているみたいな口ぶりだ。清永の不気味な面を知っている僕には、どうしてもそう聞こえてしまう。

「けど、葉月はいつまで経っても悩んでばっかりだ」
「……別に、悩んでなんか」