「久世くん?」

 どうしたの、と訊いてくる清永の声に応じ、ゆっくりと目を開く。
 首も手首も足首も、ぐにゃぐにゃに歪んでいた清永の身体は、僕が瞬きをする間に元に戻る。最初から、変化なんてなにもなかったと言わんばかりに。

 化け物じみた輪郭に見えるのは、いつだってほんの一瞬だ。
 とはいえ、清永のこれ(・・)の頻度は明らかに上がっている。

 僕が見間違えているだけ。勘違いをしているだけ。
 数日前まで無理にでもそう思おうとしていたけれど、この頻度で見えてしまってはもうごまかしは利かない。

「……戻ってるぞ、呼び方」
「あっ!」

 人の形に戻った清永を、僕はじっと見つめる。
 清永が人間である証拠を――正しい輪郭を、目に()きつけておかなければならない。

 清永が異形になるのは、僕とふたりでいるときだけだ。
 清永自身、その現象については特に触れてこないから、伏せておきたいのだと思う。少なくとも、僕に積極的に明かしたがっているわけではない。

 ただ、それにしてはあまりに頻度が高い。