友達になった人気者が、人間じゃなかった話

 隣に、清永がいてくれるからだ。

「そういやさぁ」
「なに」
「久世くんの下の名前ってなんだっけ」

 不意に訊かれ、話題が急に変わったこともあって、返事までに間が空いてしまう。

「なんで?」
「ん~、なんか俺と似てる気配するっていうか」
「ええ……急になんだよ、掠ってすらなさそうだけど」

 脈絡もなにもない質問に、僕はたっぷりと沈黙を挟んだ後、少し恥ずかしくなりながら答える。

「葉月」

 家以外の場所で下の名前を呼ばれる機会がほとんどないから、自分の名前なのに他人のものみたいに聞こえる。
 一方、隣の清永は、途端に弾んだ声をあげた。

「そうそう、葉月だ。夏っぽいよね、俺と一緒!」
「あんた特に夏要素なくね?」
「ん~、雷って夏にすごいじゃん?」

 はあ、と間の抜けた声を返す。
 呼んだことは一度もないが、言われてみれば、清永の下の名前は〝雷〟だ。