「明後日から暑くなるってさ」
「マジかぁ。まぁ今も暑いか暑くないかで言ったら普通に暑いけどな~」
七月最初の木曜、放課後。
屋上の、貯水タンクを囲う柵にいつものように寄りかかり、僕らは揃ってぼうっと空を見上げる。
涼やかな海風とそれを遮る建物がほとんどないおかげで、他の町に比べれば暑くなりにくいと言われるこの田舎町にも、いよいよ本格的な夏が迫りつつあった。
武田たちに啖呵を切ったあの昼休みから、一週間あまりが過ぎた。
あれから僕と清永は、ふたりで話すとき、だいたいこうして屋上を訪れている。
けれど、風がよく通るこのタンクの陰も、間もなく暑さにやられて安息の地ではなくなってしまう。
「んじゃあそろそろ探さないとな、俺らの新しい秘密基地」
「秘密基地て」
小学生みたいな清永の発言に、思わず噴き出しそうになる。
教室では、というか他の人の目がある場所では、今みたいなことは絶対に言わない。素に近いだろうこういう一面を清永が見せるのは、僕の前でだけだ。
「ああ、そうだ。はいこれ」
口元を緩ませそうになりながら、僕は鞄から一冊の本を取り出した。
「マジかぁ。まぁ今も暑いか暑くないかで言ったら普通に暑いけどな~」
七月最初の木曜、放課後。
屋上の、貯水タンクを囲う柵にいつものように寄りかかり、僕らは揃ってぼうっと空を見上げる。
涼やかな海風とそれを遮る建物がほとんどないおかげで、他の町に比べれば暑くなりにくいと言われるこの田舎町にも、いよいよ本格的な夏が迫りつつあった。
武田たちに啖呵を切ったあの昼休みから、一週間あまりが過ぎた。
あれから僕と清永は、ふたりで話すとき、だいたいこうして屋上を訪れている。
けれど、風がよく通るこのタンクの陰も、間もなく暑さにやられて安息の地ではなくなってしまう。
「んじゃあそろそろ探さないとな、俺らの新しい秘密基地」
「秘密基地て」
小学生みたいな清永の発言に、思わず噴き出しそうになる。
教室では、というか他の人の目がある場所では、今みたいなことは絶対に言わない。素に近いだろうこういう一面を清永が見せるのは、僕の前でだけだ。
「ああ、そうだ。はいこれ」
口元を緩ませそうになりながら、僕は鞄から一冊の本を取り出した。



