化け物の輪郭は、もう清永の身体のどこも覆っていない。
 それを、彼の全身にくまなく目を向けて確認してから、僕は「ああ」と細い声で返事をした。

 風が急に強く吹きつけてくる。
 そのせいで、僕は一層脆くなる。

 初めて心を開ける友達ができた。確かにそう感じているし、嬉しくもある。
 けれど、思えば清永は、初めて一対一で話したときから普通ではなかった。

 僕の異常を嗅ぎ取って、僕からそれを抜き出して、そして僕をただの僕にした。
 そんなことは、普通の人間には絶対にできない。

 分かっていたはずなのに。

 こくりと喉が震える。
 考えたくはない。それでも、考えずにはいられなかった。
 もし清永が普通では――人間ではなかった場合、こいつと友達になった僕は、一体どうすればいいんだろう。