「……あ……」

 自然と声が漏れた。そこにいたのは、いつも通りの清永だった。
 清永は当然とばかり、化け物じみたおかしな形なんて全然していなくて、怪訝そうに眉をひそめた彼と目が合った。

 は、と震える息が零れたと同時に、嫌な汗が首を伝い落ちていく。

「どうしたの急に。まだなんか心配ごと?」
「いや。なんでも、ない」

 汗が止まらない。暑いからではない。
 いつしか逸れていた視線を、確かめるようにしてまた隣へ向けた。心配そうに首を傾げて僕を見つめる清永と、再び目が合う。

 からからに渇いた喉が、痛い。

「ならいいけど……ねえ、今日はもう帰っちゃわない? どっか寄り道してこ!」

 腰を上げ、タンクの陰から足を踏み出した清永は、降り注ぐ日差しの下で晴れやかに笑っている。