友達になった人気者が、人間じゃなかった話

『清永はそんな奴じゃない』
『あいつのこと大して知らないくせに、悪口ばっかり言うな』

 さっき僕が武田に叩きつけた言葉も、清永は廊下で聞いていたのだろうか。
 僕だって、あんなことを言えるほど清永についていろいろ知っているわけでもなんでもないのに、出すぎた物言いをしてしまったかもしれない。

 なんとなく居心地が悪くなって、けれど清永は相変わらず上機嫌だ。

「久世くんって俺のことすっげー見てくれてるじゃん。だから俺、久世くんにもっと俺のこといろいろ見てほしいし、久世くんのことももっと知りたい」

 清永に向けていた視線を、僕はゆっくりと逸らした。
 まっすぐな言葉だ。僕が苦手としてきた、真っ向から他人と向き合うための。

 僕とは本当に違うんだなこの人、と改めて思い知らされてしまう。
 眩しくて、うまく届かなくて、だからもっと話したくなる。もっと知りたくなる。

「僕は……全部話せる友達、作るなんて、まだ怖い」
「あの力、もう残ってないのに?」
「そんなにすぐには変われない。でも」

 口にしてから、前にも同じことを思ったな、と苦い気分になる。