友達になった人気者が、人間じゃなかった話

 口を開けて笑う清永から、僕はそっと目を逸らす。
 上辺という言葉に過剰に反応してしまった。頭が良くて、運動もできて、顔も整っていて、人気者で――そういう清永しか見ていないくせに、と武田に対しても思ったばかりだ。

 上辺だけを見て、その上辺を毛嫌いしているのが武田。そして、その上辺を持て(はや)しているのが清永の周りにいるクラスメイトたち。
 言われてみれば、似たり寄ったりだ。

 人に囲まれながらも、清永は、感覚的にはずっとひとりぼっちだったのかもしれない。

「久世くんは、ちゃんと腹割って話せる友達ってまだ要らない?」
「……僕は」
「俺はね、久世くんといるときだけちょっと違うんだぁ最近。素でいられるっていうか、外面(そとづら)の演技なんか別にどうでもいいか~って思えちゃうっていうか」
「あ……」
「今朝だって、人前であくびなんて、隣に久世くんがいなかったらたぶんしてない」

 あは、と笑った清永は、随分と機嫌が良さそうに見えた。
 こういう清永のことは、クラスの誰も知らなそうだ。いや、知らないのではなく、清永が知らせていない。

 清永自身が見せたくないのかもしれない。