友達になった人気者が、人間じゃなかった話

「ひとりがいいの? 俺がいるのに?」
「教室では僕に話しかけてこないだろ、あんた。嫌だからじゃないのか」
「違うよ。俺が久世くんに声かけると、武田くんが久世くんのことねっとり睨み始めるからさ、久世くんが嫌な絡まれ方されないように空気読んでただけ」

 珍しく嫌そうな声で喋る隣の清永を、ついまじまじと見つめる。
 ねっとり睨み始める……言い得て妙だ。清永は僕らを本当によく見ているんだな、とげんなりする。

「でも良かったよ。久世くん、今めっちゃいい顔してる」
「……清永」
「合わないところに無理やり合わせ続けるのって、実際かなり負担でしょ」

 言葉の最後、急に冷めた声が聞こえてきて、ぎくりとする。

「ほら、俺もクラスでは結構浮いてるじゃん」
「そうかな。皆、あんたのこと好いてると思うけど」
「本当にそう思う?」

 咄嗟に隣に視線を向ける。
 表情もなく、清永は空を見ていた。遠い目をしているように見えた。

「誰も彼も、成績がどうとか運動神経がどうとか、上辺の話だけしてる。そこからはみ出したら、俺は皆の思う俺のままじゃいられなくなる」
「……上辺、って」
「あは。俺は別にそれでもいいんだけどさぁ」