友達になった人気者が、人間じゃなかった話

 施錠されていると思っていたのに、鍵は開いていた。
 それを事前に知っていたと言わんばかりの所作で、清永は平然と解錠済みの南京錠を外し、ドアを押して開く。

 途端に目が明るさに負け、僕はたまらずぎゅっと瞼を閉じた。

「今日はたまたま開いてたんだよ。先生が鍵、かけ忘れたのかも」
「いやなんで開いてたこと知ってんのあんた」
「さっきまでここにいたからで~す。教室に戻ろうとしたら久世くんが修羅場ってる声聞こえてきて、正直めっちゃ焦った」

 マジかよ、と頭を抱えそうになる。
 どちらにしてもここへ来てしまった以上、サボりにしろ屋上侵入にしろ、僕はもう清永の共犯者だ。

 そろそろ本鈴が鳴る頃だ。屋上には、もちろん誰の姿もなかった。
 事故や飛び降り防止のためにフェンスで四方を覆われた屋上は、そこそこ物々しい雰囲気だ。遮蔽物(しゃへいぶつ)が碌にない空間を、ひゅう、とぬるい風が僕らの髪を乱して吹き抜けていく。

「暑い……」
「まぁそれはそう。たぶんあのチェーンって〝勝手に屋上出て熱中症になるんじゃねえぞ〟って意味だと思う」
「戻るべきだろ、どう考えても」
「大丈夫大丈夫、日陰は結構涼しいから! ていうか今の俺らに戻れる場所なんかどこにもないじゃん!」
「大袈裟……」

 軽口を叩き合った後、僕らは円柱型の貯水タンクが三つ並ぶ陰に隠れた。