友達になった人気者が、人間じゃなかった話

 僕が勢い余って余計なことを言って、空気を悪くした。
 それを気に病んでいたはずだった。

 それなのに、今のひと言で、僕の中のなにかがぶつりと音を立てて切れた。

「つーか久世ってオレらの話全然聞いてなくね? さっきも言っただろ、ああいう奴って陰でオレらのこと馬鹿に……」
「うるさい」

 遮るように短く告げる。
 は、と武田の呆けた声が耳を掠めた。中野もあからさまに固まっている。

 武田は清永を嫌っている。頭が良くて、運動神経も良くて、人気者で、顔も良くて――清永のそういう上辺だけを見て、その上辺だけを毛嫌いしている。
 そのくせ、清永が不在のタイミングでしか今みたいな陰口を叩けない。

 そんな武田を、初めて、面倒ではなく不快だと思った。

「清永はそんな奴じゃない」

 言わないほうが楽だ。揉めないほうが今後のためだ。
 頭ではそう分かっているのに、今の侮辱は許せないという気持ちが、僕の狡い打算を簡単に飛び越えてしまう。

「は? え、ちょっとなに……」
「あいつはいい奴だよ。人のこと、絶対悪く言わないし」