帰る間、そして帰ってからも考えていた。
 清永の言う通りだ。僕は狡い。それは元々なんとなく分かっていたことで、けれど人から言われると、思いのほか深く心に刺さって抜けない。

 事実、武田たちと一緒にいるとき、僕は無理をしている。
 無理に合わせて無理に笑って、でもそれは必要だからそうしている。

 ……〝必要だから〟か、と苦い気分になる。

 確かにそれを友情とは呼ばない。
 呼ばないが、僕にしてみれば〝だったらなんだ〟という以外にない。

 本当に清永の言う通りだ。僕はものすごく狡い。
 普通だとか、普通じゃないとか、それ以前の問題だ。
 今のままでは良くないことを、他の誰よりも分かっているのは、僕自身。