一方的な、しかも最後には投げやりな喋り方になった。
 こいつが無駄にまっすぐ刺してくるから反論しないわけにもいかなくて、くそ、と心の中で悪態をつく。こんなカスみたいな自分の内面なんか、誰にも明かすつもりはなかったのに。

 踏み込んでくる人は突き放す。
 そういうやり方でしか、僕は自分をうまく守れないのに。

「うーん。久世くんさぁ」

 しばらく間が空いた後、清永が口を開いた。
 さっきまでとは違い、清永はためらうような仕種で口元に指を添えている。

「言いにくいんだけど、ちょっと(ずる)いかも」
「……は?」
「あのふたりのこと、久世くんは久世くんで利用してるって話だよね。そういうやり方ってなんか狡くない?」
「っ、うるせえな……」

 たまらず口調が雑になる。それを、声に出してしまってから後悔した。
 清永は僕を責めたいわけでも詰めたいわけでもなんでもなくて、考えていることをただ口に乗せているだけなのだと思う。けれど僕は痛いところを突かれてばかりで、もうぼろぼろだ。

 本当に、全部が全部、嫌になるほどこいつの言う通り。

 幼稚な悪態が口を滑った後も、清永は同じ顔のままだった。
 動じていない。僕だけがひとりで勝手に揺らぎまくっていて、あまりの情けなさに気が滅入った。