「清永みたいななんでもできる奴ってさ、他の奴のこと、なんつうか下に見てる感じするんだよな」
「ああ、なんか分かるわ~そういうの。オレらも馬鹿にされてそうだよな、陰で」
「だろ? 久世もさぁ、あんまり気とか許しすぎないほうがいいと思う」
武田と中野が交互に喋る。ふたりとも、お前のためを思って言ってるんだぞ、と言わんばかりの口ぶりだ。
清永に対する敬遠……もっと踏み込んだ言い方をするなら、うっすらとした嫌悪と冷笑の気配を察知して、武田の目を見たままでは話を聞いていられなくなる。
「うん。そう、かも」
「だろ? ほら、もう行こうぜ」
ちり、と胸の奥が焦げつく。
こういうとき、僕は結局頷き返すしかできない。
表にはあまり出さないが、武田は清永を好いていない。
入学以来、学年トップクラスの成績をキープしている清永を、成績にコンプレックスを抱えている武田は快く思っていない。実際に、清永への陰口に無理やり付き合わされたことも何度かある。
長らく中の中辺りのラインを漂っている僕から見れば、武田の成績は十分良い。
けれど、武田自身が劣等感を覚えているなら、他人がなにを言っても意味がない。
武田はそういう人だ。
拗らせたコンプレックスを人目から隠して、常に自分よりも下の誰かを探して、眺めて、安心して――そういう。
「ああ、なんか分かるわ~そういうの。オレらも馬鹿にされてそうだよな、陰で」
「だろ? 久世もさぁ、あんまり気とか許しすぎないほうがいいと思う」
武田と中野が交互に喋る。ふたりとも、お前のためを思って言ってるんだぞ、と言わんばかりの口ぶりだ。
清永に対する敬遠……もっと踏み込んだ言い方をするなら、うっすらとした嫌悪と冷笑の気配を察知して、武田の目を見たままでは話を聞いていられなくなる。
「うん。そう、かも」
「だろ? ほら、もう行こうぜ」
ちり、と胸の奥が焦げつく。
こういうとき、僕は結局頷き返すしかできない。
表にはあまり出さないが、武田は清永を好いていない。
入学以来、学年トップクラスの成績をキープしている清永を、成績にコンプレックスを抱えている武田は快く思っていない。実際に、清永への陰口に無理やり付き合わされたことも何度かある。
長らく中の中辺りのラインを漂っている僕から見れば、武田の成績は十分良い。
けれど、武田自身が劣等感を覚えているなら、他人がなにを言っても意味がない。
武田はそういう人だ。
拗らせたコンプレックスを人目から隠して、常に自分よりも下の誰かを探して、眺めて、安心して――そういう。



