友達になった人気者が、人間じゃなかった話

「なんていうか、なんでそんなことできんの~、とか訊かないの?」
「じゃあ訊く、なんでそんなことができるんだあんた? 説明したら返せ」
「ええ~、久世くんおもしろすぎる。なに?」

 困惑顔から一転して、清永は「あはは」と高らかに笑い出した。
 さっきの目を細める不気味な微笑みはもう浮かべていなかったし、黒目もぎらついていなかった。

 それなのに、次の瞬間。

「ねぇ久世くん、俺、久世くんのこともっと知りたいかも!」

 楽しげに切り出してきた清永の首が、突然、ぐにゃりと曲がった。

 曲がる、という以外にうまく言い表せない。
 首だけではなかった。腕、脚、胴、制服に包まれた清永の身体が、伸びたり曲がったり縮んだり、くにゃくにゃと歪んで、ひしゃげて――目を見開いた直後、僕はきつく瞼を閉じて視界を遮った。

 なんだ、今の。
 暑い日に道に立ちのぼる、陽炎(かげろう)じみた、……でもここは屋内だし日光も当たっていない。なにより、周囲の景色は一切変わっていない。

 清永の身体だけが、制服の中で曲がって歪んで、あり得ない形になっている。