ぎゅ、と拳を握り締める。
おかしな考えに呑み込まれてしまう前にと、僕は渇いた喉から無理やり声を絞り出した。
「返せ」
ぎらついた黒目をあえて真正面から睨みつけ、はっきりと言い放つ。
は、と目を見開いた清永から、気色の悪い微笑みがふっと掻き消えた。
「ええと、なにを?」
「その力を、だよ」
淀みなく答えると、清永は分かりやすく困惑を浮かべてみせた。
その反応にほっとする。
そうだ。こいつが人以外のなにかだなんてあり得ない。
毎日制服を着て学校に通って、授業を受けて、クラスの奴と笑ったり喋ったりして――そんな人間くさい人外生物がいてたまるか、と改めて思う。
戸惑っているらしき清永の黒目が、右へ左へと派手に泳ぐさまを見て取った。
「なんで? 要るモノだった、これ?」
「要らない。でも他人に押しつけても胸糞悪いだけだ、だから返せ」
「ええ~?」
ますます目を見開いた清永は、口元に手を当てて大袈裟に驚いている。
なんだよこいつ、『ええ~?』じゃねえよ腹立つな、と思わず毒づきたくなる。
おかしな考えに呑み込まれてしまう前にと、僕は渇いた喉から無理やり声を絞り出した。
「返せ」
ぎらついた黒目をあえて真正面から睨みつけ、はっきりと言い放つ。
は、と目を見開いた清永から、気色の悪い微笑みがふっと掻き消えた。
「ええと、なにを?」
「その力を、だよ」
淀みなく答えると、清永は分かりやすく困惑を浮かべてみせた。
その反応にほっとする。
そうだ。こいつが人以外のなにかだなんてあり得ない。
毎日制服を着て学校に通って、授業を受けて、クラスの奴と笑ったり喋ったりして――そんな人間くさい人外生物がいてたまるか、と改めて思う。
戸惑っているらしき清永の黒目が、右へ左へと派手に泳ぐさまを見て取った。
「なんで? 要るモノだった、これ?」
「要らない。でも他人に押しつけても胸糞悪いだけだ、だから返せ」
「ええ~?」
ますます目を見開いた清永は、口元に手を当てて大袈裟に驚いている。
なんだよこいつ、『ええ~?』じゃねえよ腹立つな、と思わず毒づきたくなる。



