間違いない。二日前にも見た、あの予兆の人だ。
 なんで見ちゃうんだよ、わざわざ……悪趣味な自分の行動に呆れるもうひとりの自分の声が、頭の中で不穏に響く。

 けれど、彼女の首元に視線が届いた、その瞬間。

「え?」

 隣のお婆さんと目が合った(・・・・・)
 つい声をあげてしまってから、僕は慌てて彼女から顔を背ける。

「どうしたの?」
「い、いや。別に」

 首を傾げて尋ねてきた祖母に短く返事をする。
 そうしながらも、僕の頭はすぐさま疑問符で満ちていく。

 なんでだ。
 顔があった。
 首から上が、普通に見えた。

 一瞬だけ見た皺の目立つ目元を思い返し、なんとか頭を動かす。
 二日前に見た人とは別の人なのかも……いや、あの特徴的な指輪はさすがに見間違えない。指の皺だってよく似ている。でも。