先に歩き始めた清永の隣に、慌てて並ぶ。
 清永の足取りは、ふらふらしているわりに目的地が決まっているかのようなしっかりした感じもして、妙にちぐはぐな印象だった。

「なあ、どこ行くんだ」
「内緒~」

 駅の敷地を出ながら、清永らしいはぐらかしが入る。
 またそれかよと思いつつも、休み前のあの日ほどうわの空というわけでもなさそうで、少しほっとする。

「今日さ、来てくれなかったらどうしよっかなって思ってた」

 ぽつりと呟かれ、息が詰まった。
 どうする気だったんだ、とはとても訊けない。訊けないまま足が止まってしまう。

 ようやく清永が僕を向く。隣を見つめ返したが、やはり目は合わない。
 そのことに傷ついた気分になって、けれどためらうのはもうやめにしたかった。

 清永が普通の人間でなかったとしても構わない。
 普通だとか普通じゃないとか人間だからとか人間じゃないからとか、そういうカテゴライズは不要だ。清永が清永のままでいられるならそれでいい。僕の願いはそれだけだ。

 僕は、それを清永に伝えたい。