「ああ、ええと。元気じゃなかった……っていうか、その」

 大苑くんの喋り方は歯切れが悪い。
 急かしたくなる気持ちを抑え、僕は話の続きをじっと待つ。

「二年に進級するときにクラス替えがあったんだけど、そこから清永くん、別人みたいに明るくなって学校に戻ってきたから……不思議っていうか、心配だったっていうか」
「心配?」
「うん。一年の、夏休みより前だったと思う。保健室で清永くんを見たことがあって」

 目を細めて喋り始めた大苑くんは、僕の目にはどこか物憂げに見えた。

「あの頃の清永くん、すごく痩せてた。背も小さくてガリガリで、あぁこの人、いじめとかじゃなくて普通に身体の具合が悪くて学校に通えないのかもって思って」
「うん」
「おれ、保健委員だったんだよね。委員会の仕事が終わって保健室から出るとき、その、たまたま見たんだ」

 ふ、と吐き出された大苑くんの息は微かに震えていて、僕まで息が詰まる。

「清永くんの腕、くにゃって変な形に曲がったんだよ」