友達になった人気者が、人間じゃなかった話

 制服の形までめちゃくちゃになる、今までで一番大きな歪みだった。
 瞬きをしても元には戻らず、関節という概念を完全に無視して長く伸びて曲がる腕、その先端の指が、やがて僕の首筋に届く。

「きよ、なが、」

 首に触れる指は温かい。
 ごく普通の人肌の温度で、だからこそ僕の不安はますます煽られてしまう。

 どう答えるのが正解なんだ。どうすれば、清永は人のままでいられるんだ。
 ……違う。清永に人のままでいてほしいのは僕だ。僕が清永を、僕が知っている清永のままにしておきたいだけ。

 きつく目を瞑ったと同時に、首に触れている清永の指が微かに震えた。
 僕が怯えているように見えて(ちゅう)(ちょ)したのだろうか。いや、それとは別の違和感がある。触れ方が奇妙な気がしてならない。

 例えるなら、ないものに頑張って触ろうとしている(・・・・・・・・・・・・・・・・・)みたいな、そういう。

「なんでもない。全部忘れて、今の」

 考えすぎで遠のきかけていた意識が現実に引き戻され、はっと目を見開く。
 見上げた清永は、僕の知る清永そのものだった。輪郭はすっかり元通りで、僕こそが幻覚を見ていたかのような……いつもと同じだ。

 それなのに、目だけは合わない。
 違和感が増殖していく。昼過ぎから、ずっとこうだ。