息をつく暇もなく、僕は渋谷さんの顔目がけて腕を伸ばした。
そのまま手のひらで彼女の視界を遮ると、「えっなに!?」と渋谷さんが困惑の声を張り上げる。
女子への急な接触を申し訳なく思う。けれど、配慮を優先している余裕は露ほどもなかった。渋谷さんの目元を覆ったきりで、歪んだ首から目を逸らさず、僕は清永にまっすぐ告げる。
「清永。落ち着けるか」
必死だったせいか、咎めるような調子になったことは否めない。
声をかけた途端、清永の輪郭はすっと元の形に戻った。いつもは瞬きしている間に戻る異形が、目の前でしゅるしゅると収束していく様子を目の当たりにするのは、僕自身初めてだった。
あ、と呆然と声を漏らした清永には、今の歪みの自覚はなさそうだ。
焦りすぎて息が苦しい。清永が人ではないことを、他の誰にも知られるわけにはいかない――次の瞬間、すべての不安を跳ね除けたいがためだけの、叫びにも似た大声が喉を滑った。
「渋谷さんごめん僕ら今日は帰るね、屋上も行かないから、大丈夫だから! じゃ!」
「あっ、え、ちょっと!?」
清永の輪郭が元に戻ったと同時に渋谷さんから手を放し、今度は清永の腕を掴んだ。
そのまま手のひらで彼女の視界を遮ると、「えっなに!?」と渋谷さんが困惑の声を張り上げる。
女子への急な接触を申し訳なく思う。けれど、配慮を優先している余裕は露ほどもなかった。渋谷さんの目元を覆ったきりで、歪んだ首から目を逸らさず、僕は清永にまっすぐ告げる。
「清永。落ち着けるか」
必死だったせいか、咎めるような調子になったことは否めない。
声をかけた途端、清永の輪郭はすっと元の形に戻った。いつもは瞬きしている間に戻る異形が、目の前でしゅるしゅると収束していく様子を目の当たりにするのは、僕自身初めてだった。
あ、と呆然と声を漏らした清永には、今の歪みの自覚はなさそうだ。
焦りすぎて息が苦しい。清永が人ではないことを、他の誰にも知られるわけにはいかない――次の瞬間、すべての不安を跳ね除けたいがためだけの、叫びにも似た大声が喉を滑った。
「渋谷さんごめん僕ら今日は帰るね、屋上も行かないから、大丈夫だから! じゃ!」
「あっ、え、ちょっと!?」
清永の輪郭が元に戻ったと同時に渋谷さんから手を放し、今度は清永の腕を掴んだ。



