友達になった人気者が、人間じゃなかった話

 彼女の口早な話を噛み砕くと、渋谷さんの友達の()(しま)さんが、今まさに屋上で三年の先輩に告白されているらしい。

「ここじゃふたりが戻ってきたときアレだから移動移動!! ほら駆け足!!」
「あっはい、行くぞ清永……」

 勢いに呑まれつつ、足の鈍い清永の後ろから、彼をせっつくようにして階段を下りる。
 そうしている間、怪我と松葉杖というハンデがありながらやすやすとチェーンを越えていく渋谷さんの所作に、僕は思わず見惚れてしまう。

 辿り着いた先は渡り廊下だ。
 僕と清永の間にまだ距離があった頃は、屋上ではなくここで話すことが多かった。なんだかひどく懐かしい。

「なんか悪いね、屋上行くとこだったんでしょふたり?」
「いや、まぁ……大丈夫だよ」
「ていうか! くぜっちって本当、清永くんといつの間にそんな仲良くなったん? ずっとふたりでいるじゃん、なになに~マジいつの間にって感じ」
「え、ええと」

 どもったきりうまく返事ができずにいると、ひと言も喋らずにいた清永がようやく口を開いた。

「葉月、元からこんなに仲良かったっけ。渋谷さんと」

 開口一番、湿度の高い質問を零され、ぎくりと肩が強張る。