友達になった人気者が、人間じゃなかった話

「なぁ。具合でも悪いのか、あんた」
「え……なんで?」
「いや、なんとなく思っただけ」

 階段を進みながら話している間も、清永とは一度も目が合わなかった。話もそれきりぶつ切りだ。
 傷ついた気分になる。
 清永は、僕が初めて心を許した親友だ。けれど、もしそう思っているのが自分だけだったらどうすればいい。

 清永にとっての僕は、親友と呼ぶには不足があるのかもしれない。
 急に足場が抜けたみたいな不安に襲われ、沈黙に耐えきれなくなった僕の唇から、吐息とまとめて震える声が零れ落ちる。

「清永。あの、僕、なんかあんたの気に障るようなこと、」

 屋上へ続く階段のちょうど中腹、踊り場で口走った僕の声は、バタバタと慌てた素振りで開いた上方のドアの勢いに掻き消された。

 咄嗟にそちらを見上げると、強い逆光の中、見覚えのある松葉杖が真っ先に目に留まる。

「え、誰っ?」