友達になった人気者が、人間じゃなかった話

 例えば鯉の話なら、なぜ人間以外の死を予見できてしまうのか。
 例えば賭けの話なら、仲間とどんな賭けをしているのか。仲間とは誰なのか。もしかして人ではないのか。
 例えば歪む輪郭の話なら、どうして化け物みたいに形を変えるのか。自分は人間ではないモノだと言いたげに、わざわざ僕に見せつけるようにして。

 訊きたいことは山ほどあるのに、僕は、今日もなにも訊けずじまいだ。

「うん。気をつける」

 短いとは言えない沈黙の後、清永は珍しく眉尻を下げて笑った。
 その顔を見て、くらりと気が遠くなる。

 普通ではないことが、僕らを繋ぐ共通項だったはずだ。
 それなのに、僕と清永の間には、絶対に越えられない溝が横たわっている。

 僕が踏み込んでも、清永は核心に触れなかった。
 ただ笑ってごまかすだけだった。
 思い知る。それ(・・)の詳細を僕に打ち明ける気は、やはり清永にはないのだ。

 これ以上は踏み込めそうになかった。
 下手に踏み込んだら、途端に今のまばゆいばかりの日々が壊れてしまいそうで怖い。清永が人ではないと確定したら、その瞬間に全部終わる、そんな気がしてならなくて足が(すく)む。

 宙ぶらりんにしておけば壊さずに済むのなら、僕はそうしたい。
 今のままがいい。そうしてでも、僕は清永とずっと友達でいたい。

 たとえそのせいで、清永の全部までは理解できなくなってしまうとしても。