友達になった人気者が、人間じゃなかった話

 昨日は気のせいだった。今日はどうだろう。
 今日も気のせいなのでは? そもそも僕は、それをどうやって判断していた? 自分の目に映る情報を、うまく信用できなくなりそうだ。

 昨日の渋谷さんと清永の会話が、不意に脳裏に蘇る。
 渋谷さんが事故に遭った後、清永は彼女のお見舞いに行ったと言った。でも昨日、ふたりが話している間、どちらもお見舞いの話題を口にしなかった。渋谷さんの性格を考えるなら、そのときのお礼くらいはさりげなく口にしそうなのに。

 小さく過った違和感は、どんどん膨れ上がっていく。

『昨日の放課後、俺、渋谷さんのお見舞いに行ってきたんだよね』

 あの話を清永から聞いたのは、渋谷さんが事故に遭った翌日だ。
 おかしい。どうして今まで気づかなかったんだろう。それでは、清永は渋谷さんが怪我をした当日に彼女を見舞ったことになる。

 大怪我をして搬送されたその日のうちに、家族以外の人間、それもただのクラスメイトが病院を訪ねたとして、普通は門前払いで終わりな気がする……だが。

『足とか骨折してたし顔もまだ腫れてて、かなり痛そうではあったかな』