友達になった人気者が、人間じゃなかった話

 清永のこの顔――目が三日月形になる微笑み方が、やっぱり苦手だ。『普通の人には分からないようにしてたのに』という言い回しも気に懸かる。普通の人。どうしても拭えない違和感がある。

 沈黙をもって続きを促していると、清永は諦めたような調子で再び口を開いた。

「だって葉月、俺以外の人とあんなに楽しそうに話してるから」
「は?」

 なんだその言い方、と眉が寄る。
 清永の表情は、冗談や軽口を言っているときのそれではなかった。僕も真面目に答えなければ、と気を引き締めてから返事を口にする。

「渋谷さんの話? あの人と一対一で喋ったの、昨日が初めてだけど」
「ううん、なんだろなこれ。嫉妬? みたいな?」
「嫉妬……って」

 思わぬ言葉が聞こえたせいで、絶句してしまう。

「ああ、ごめん。気持ち悪かったかも今の」
「い、いや、別にそんなことは」
「他の言い回し、うまく見つからなくて。初めてなんだぁこういう気持ち」

 生ぬるい風が、僕らの間を通り抜けていく。
 うまく目を合わせられなくて、清永の尖った喉元をじっと見つめていると、不意にそこがくにゃりと歪んで見えた気がした。

 ぞっと背筋が震える。