噴き出してしまった。
 毎日一緒に。さっきまで、僕も似たことを思っていた。誘う勇気を出せなかった僕とは違って、清永は思っていることをはっきり言う。やはり眩しい。

「休み中は塾とかあるんだよな、僕」
「塾だと~!? じゃあ終わってから待ち合わせだ!」
「なにそれハードスケジュールすぎる」

 軽口を叩き合いながら、不意に不安が過った。
 昨日の清永は少し様子がおかしかった。特に、渋谷さんとやり取りしている間だ。本当に些細な変化だったとはいえ、ふと思い出して心配になる。

 今日は大丈夫だろうか。
 ぱっと見た限り、問題はなさそうだ……でも。

 昨日、渋谷さんと話した後に清永の手首が歪んで見えたのは、たぶん僕の気のせいだ。咄嗟に掴んだ手首の感触には、なんの異変もなかったからだ。
 だが、清永が苛立って見えたことは気のせいだと思えない。
 僕の力が清永に渡って以来、清永が心身に不調をきたさないか、僕は密かに心配してきた。僕が長年かけて飼い慣らしてきたモノを急に引き受けて、それまで通りに暮らし続けるなんて、普通の人間にできるとは思えなかったのだ。

 でも、清永は楽しそうだ。