◯高松家の瑞稀の部屋・昼
瑞稀と伊織が、小さなちゃぶ台を囲ってお茶をしている。
モノローグ『あれから二週間』『不思議なほど、私は見つかることなく過ごせている』
瑞稀「捜索願いとかも出されてないみたいだよ」
伊織「多分、世間体を気にしてるだけだと思います。神崎家の人間が家出なんてみっともないって」
瑞稀「なるほどね。あの狸おやじならあり得そう。何だかんだ残り二週間だし、幸次がヘマしなかったら大丈夫だよ」
伊織「だと良いんですけど……」
伊織は、緑茶の入った湯呑を両手で包むように持ち、物思いにふける。
伊織(逃げ切ったら、夾さんとの未来もあるのかな……)
瑞希「どうしたの? 好きな人でもいるの?」
伊織「え!? どうしてですか!?」
瑞希「そんな顔してた」
伊織は顔をペタペタと触る。
伊織「私って、そんなに分かりやすいですか?」
瑞希「うん、すっごく。で、どんな人? まさか幸次?」
伊織「いえ、高松君は友達ですから」
瑞希「へへ、幸次ふられてやんの」
伊織「高松君もそんな風に思ってないと思いますよ」
瑞希は、遠くを見るように窓の外を眺めた。
瑞希「幸次はさ、チャラチャラしてるけど、悪いやつじゃないんだよ」
伊織「はい」
瑞希「ただね、長男としての重圧みたいな、そういうのに耐えられなくなっちゃったんだよね。頑張ってるけど上手くいかなくて、どこか伊織ちゃんと重ねてるんじゃないかな」
伊織「私には、そんな重圧……」
瑞希は首を横に振る。
瑞希「ううん。伊織ちゃんだって、異能が使えない分、家族やみんなの期待に応えようって頑張ってたんでしょ? 一緒だよ」
伊織「そう……ですかね」
〇学校・昼休憩
高松は、屋上のフェンス越しに一人でパンを食べている。
高松「へっくしゅッ。誰か、俺の噂してんな」
鼻の下を指で擦っていると、アンナが現れた。
アンナ「高松君」
高松「なんだ? 俺以外相手してくれる奴いなくなったか?」
アンナはフェンスを背に高松の隣にしゃがみ込む。
アンナ「伊織ちゃん、元気?」
高松「多分な」
アンナ「私さ、伊織ちゃんを利用しようとしてたんだよ。最低だよね」
高松「別に良いんじゃね?」
アンナ「え?」
高松「俺だって、似たようなもんだし。俺も、可哀そうな子を助けることで自分を正当化してる」
アンナ「そっか……」
俯くアンナの頭をクシャッと撫でる高松。
高松「で? 利用しようとしてたってことは、するのやめたのか?」
アンナ「ううん。やめたんじゃなくて、私……騙されてただけみたい」
〇回想中。
龍宮にて、アンナは夾に全てを話した。(第十一話のラスト)
アンナ「桜ちゃんは、伊織ちゃんと夾さんの仲に嫉妬してるんです。それで、桜ちゃんに協力したら異能で母の病気を治してくれるって言われて……だから、伊織ちゃんに近付いて、弱みじゃないけど、そういうの探って来いって」
小龍「おかしくないですか」
アンナ「おかしい?」
小龍「だって、あの娘の異能って……」
夾「小龍」
夾が諭せば、小龍は黙った。
夾「で? 伊織の失踪とどう関係があるの?」
アンナ「はい。元は、高松君の案なんです。伊織ちゃんがいくら無能だとしても、生贄として排除するなんておかしい。龍神様の逆鱗に触れないために、伊織ちゃんだけがこの世界の犠牲になるのは間違ってるって。逃げようって」
小龍「伊織様を排除など」
夾「小龍」
諭すように言えば、小龍は一歩下がった。
小龍「はい」
夾「でも、おかしいよね。排除したいなら、失踪を必死で止めるはずだよね。それに、伊織がいなくなったら桜が代わりに生贄になるんでしょ?」
アンナ「それが……」
アンナは言いにくそうに続きを話す。
アンナ「逃げた場所を私に把握させて、そこに男を数人向かわせるつもりだったようで……」
夾「それは……」
アンナ「伊織ちゃんを襲わせるって。精神的にも身体的にもボロボロにさせて、夾さんの前に出られないように。そして、そのまま無惨に龍神様の生贄になれば良いって」
アンナは、両手で目元を押さえるように顔を隠した。
アンナ「ごめんなさい! 私、伊織ちゃんに酷いことしようと……」
夾「酷いことしようとしてたのは、桜でしょ。で? 今は、どこにいるの?」
アンナは首を横に振った。
アンナ「分かりません。二人の後を追ってたんだけど、見失っちゃって」
夾「そっか」
アンナ「でも、私、これからどうしたら……」
夾「あのさ、桜は人の病気を治癒なんて出来ないよ」
アンナ「え……」※唖然とするように顔が上がる。
夾「桜の異能は、風と水だから。その父親も火だからさ、桜の言うこと聞いても何のメリットもないよ」
アンナ「そんな……だったら、私はどうしてこんなことを……?」
〇現実に戻る。
アンナ「だからさ、私、最後まで逃げ切って欲しい」
高松「大丈夫だって。なんたってアイツは今、神様に守ってもらってるからな」
アンナ「神様?」
高松「おう、神様」
〇高松神社の上空・同時刻
龍の姿の夾と小龍が宙を漂っている。
高松家の一室に伊織と瑞希の姿。
小龍「まさか犬神のところに匿われていたとは……良く分かりましたね、夾様」
夾「あの男、どこかで見たことがあると思ったんだ」※高松を思い浮かべながら。
モノローグ『高松幸次、彼は犬神使い』『けれど、どちらかというと犬神に使われている人間』『いや、使い使われる関係ではなく、信頼し合っているような、姉弟のような関係』『だから、覚えていた』『妙な人間がいると』
小龍「しかし、どう致しますか? 犬神が離れた隙に連れ戻しますか?」
夾は瑞希を見た。そして、伊織を見る。
夾「そうだね……」
小龍「複雑ですよね。ここにいる間は、伊織様は無下には扱われない。しかし、ここにいれば伊織様は夾様の伴侶にはなれない」
夾「そうなんだよね……って、代弁しなくて良いから」
夾(けれど、その通りだから、どうしたら良いのか分からない)
小龍「しかし、このままにしておけば、いずれ伊織様は高松幸次のモノになりそうですね」
夾「は?」
小龍「だって、そうじゃないですか。窮地を救ってくれた相手ですよ。少なからず好意は抱くはずです。そして、夾様はあの娘を伴侶に迎え入れる。万々歳ですね」
夾は、伊織×高松、桜×夾の絵面を思い浮かべる。
首を横にふる夾。
夾「迎えに行こう。今すぐに!」
夾は、神社の外の草むらに降り立った。小龍も続く。
小龍「早くそうすれば宜しいのに。伊織様を発見して、もう一週間も経ちましたよ」※呟き。
〇再び瑞希の部屋
瑞希は、警戒するようにカーテンをシャッと閉めた。
伊織は首を傾げながら瑞希を見た。
伊織「瑞希さん?」
瑞希「追手が来た」
伊織「え? 追手? でも、どうして分かるんですか? 電話とか鳴ってないですよね?」
瑞希「説明は後だよ。ひとまず、その押し入れの中に入ってて」
伊織「は、はい」
伊織は言われるがまま、押し入れの中に入る。
瑞希「絶対に出てきちゃダメだかんね」
伊織「はい」
ピシッと襖が閉まると、瑞希は窓(二階)から外に飛びおりた。
〇高松家の家の前
人型の夾と小龍(現代人風)、そして瑞希(巫女姿)が対峙する。
瑞希「まさか龍神が直々に迎えに来るなんてね。想定外だよ」
夾「それは、こっちのセリフかな。部外者が入って来ないでくれる?」
瑞希「あたしの超協力な結界まで破っちゃってさ、神崎の連中に見つかったらどうすんのさ」
夾「伊織を守ってくれたことには感謝する。けど、僕の伴侶返してもらうね」
瑞希「嫌だね。あの子は、ここにいる方が幸せなんだよ。わざわざ酷い仕打ちが待っているのが分かってて、返せるわけないだろう」
夾「それは……」
小龍「夾様、酷い仕打ちをするのは神崎の人間です。夾様がしっかりと監視なされば大丈夫ですよ」
夾「分かってる」
夾(けど……残り二週間も、あんな家に帰すのか)
心が揺らぐ夾。
瑞希「あなたもあなたよ。わざわざ人間を伴侶に選ぶだなんて。何がしたいの?」
夾「伊織を解放する為だ」
瑞希「自己満足にも程があるわ。それで、彼女は幸せになれると?」
瑞希の爪が鋭く伸びた。
そして、姿勢を低くしながら夾目掛けて走りだす。
瑞希「誰でも良いなら妹の桜を伴侶にしてあげてちょうだい。あれは救いようがないから!」
瑞希は、夾の目の前で立てた爪を斜めに振り下ろす。後ろに跳んでかわす夾。
夾「同感だよ。あそこまで落ちぶれた人間がいるなど、想像もしなかった。けど、僕にも選ぶ権利がある」
距離をあけた夾は、天に向かって手を翳す。それを振り下ろせば、瑞希の真横に雷が落ちた。
夾「これ以上僕の邪魔するなら、容赦しないよ」
瑞希「ふん、望むところよ」
瑞希は、前かがみになり両手を前に垂らした。すると、人の三倍はある大きな真っ白い犬の姿になった。
瑞稀と伊織が、小さなちゃぶ台を囲ってお茶をしている。
モノローグ『あれから二週間』『不思議なほど、私は見つかることなく過ごせている』
瑞稀「捜索願いとかも出されてないみたいだよ」
伊織「多分、世間体を気にしてるだけだと思います。神崎家の人間が家出なんてみっともないって」
瑞稀「なるほどね。あの狸おやじならあり得そう。何だかんだ残り二週間だし、幸次がヘマしなかったら大丈夫だよ」
伊織「だと良いんですけど……」
伊織は、緑茶の入った湯呑を両手で包むように持ち、物思いにふける。
伊織(逃げ切ったら、夾さんとの未来もあるのかな……)
瑞希「どうしたの? 好きな人でもいるの?」
伊織「え!? どうしてですか!?」
瑞希「そんな顔してた」
伊織は顔をペタペタと触る。
伊織「私って、そんなに分かりやすいですか?」
瑞希「うん、すっごく。で、どんな人? まさか幸次?」
伊織「いえ、高松君は友達ですから」
瑞希「へへ、幸次ふられてやんの」
伊織「高松君もそんな風に思ってないと思いますよ」
瑞希は、遠くを見るように窓の外を眺めた。
瑞希「幸次はさ、チャラチャラしてるけど、悪いやつじゃないんだよ」
伊織「はい」
瑞希「ただね、長男としての重圧みたいな、そういうのに耐えられなくなっちゃったんだよね。頑張ってるけど上手くいかなくて、どこか伊織ちゃんと重ねてるんじゃないかな」
伊織「私には、そんな重圧……」
瑞希は首を横に振る。
瑞希「ううん。伊織ちゃんだって、異能が使えない分、家族やみんなの期待に応えようって頑張ってたんでしょ? 一緒だよ」
伊織「そう……ですかね」
〇学校・昼休憩
高松は、屋上のフェンス越しに一人でパンを食べている。
高松「へっくしゅッ。誰か、俺の噂してんな」
鼻の下を指で擦っていると、アンナが現れた。
アンナ「高松君」
高松「なんだ? 俺以外相手してくれる奴いなくなったか?」
アンナはフェンスを背に高松の隣にしゃがみ込む。
アンナ「伊織ちゃん、元気?」
高松「多分な」
アンナ「私さ、伊織ちゃんを利用しようとしてたんだよ。最低だよね」
高松「別に良いんじゃね?」
アンナ「え?」
高松「俺だって、似たようなもんだし。俺も、可哀そうな子を助けることで自分を正当化してる」
アンナ「そっか……」
俯くアンナの頭をクシャッと撫でる高松。
高松「で? 利用しようとしてたってことは、するのやめたのか?」
アンナ「ううん。やめたんじゃなくて、私……騙されてただけみたい」
〇回想中。
龍宮にて、アンナは夾に全てを話した。(第十一話のラスト)
アンナ「桜ちゃんは、伊織ちゃんと夾さんの仲に嫉妬してるんです。それで、桜ちゃんに協力したら異能で母の病気を治してくれるって言われて……だから、伊織ちゃんに近付いて、弱みじゃないけど、そういうの探って来いって」
小龍「おかしくないですか」
アンナ「おかしい?」
小龍「だって、あの娘の異能って……」
夾「小龍」
夾が諭せば、小龍は黙った。
夾「で? 伊織の失踪とどう関係があるの?」
アンナ「はい。元は、高松君の案なんです。伊織ちゃんがいくら無能だとしても、生贄として排除するなんておかしい。龍神様の逆鱗に触れないために、伊織ちゃんだけがこの世界の犠牲になるのは間違ってるって。逃げようって」
小龍「伊織様を排除など」
夾「小龍」
諭すように言えば、小龍は一歩下がった。
小龍「はい」
夾「でも、おかしいよね。排除したいなら、失踪を必死で止めるはずだよね。それに、伊織がいなくなったら桜が代わりに生贄になるんでしょ?」
アンナ「それが……」
アンナは言いにくそうに続きを話す。
アンナ「逃げた場所を私に把握させて、そこに男を数人向かわせるつもりだったようで……」
夾「それは……」
アンナ「伊織ちゃんを襲わせるって。精神的にも身体的にもボロボロにさせて、夾さんの前に出られないように。そして、そのまま無惨に龍神様の生贄になれば良いって」
アンナは、両手で目元を押さえるように顔を隠した。
アンナ「ごめんなさい! 私、伊織ちゃんに酷いことしようと……」
夾「酷いことしようとしてたのは、桜でしょ。で? 今は、どこにいるの?」
アンナは首を横に振った。
アンナ「分かりません。二人の後を追ってたんだけど、見失っちゃって」
夾「そっか」
アンナ「でも、私、これからどうしたら……」
夾「あのさ、桜は人の病気を治癒なんて出来ないよ」
アンナ「え……」※唖然とするように顔が上がる。
夾「桜の異能は、風と水だから。その父親も火だからさ、桜の言うこと聞いても何のメリットもないよ」
アンナ「そんな……だったら、私はどうしてこんなことを……?」
〇現実に戻る。
アンナ「だからさ、私、最後まで逃げ切って欲しい」
高松「大丈夫だって。なんたってアイツは今、神様に守ってもらってるからな」
アンナ「神様?」
高松「おう、神様」
〇高松神社の上空・同時刻
龍の姿の夾と小龍が宙を漂っている。
高松家の一室に伊織と瑞希の姿。
小龍「まさか犬神のところに匿われていたとは……良く分かりましたね、夾様」
夾「あの男、どこかで見たことがあると思ったんだ」※高松を思い浮かべながら。
モノローグ『高松幸次、彼は犬神使い』『けれど、どちらかというと犬神に使われている人間』『いや、使い使われる関係ではなく、信頼し合っているような、姉弟のような関係』『だから、覚えていた』『妙な人間がいると』
小龍「しかし、どう致しますか? 犬神が離れた隙に連れ戻しますか?」
夾は瑞希を見た。そして、伊織を見る。
夾「そうだね……」
小龍「複雑ですよね。ここにいる間は、伊織様は無下には扱われない。しかし、ここにいれば伊織様は夾様の伴侶にはなれない」
夾「そうなんだよね……って、代弁しなくて良いから」
夾(けれど、その通りだから、どうしたら良いのか分からない)
小龍「しかし、このままにしておけば、いずれ伊織様は高松幸次のモノになりそうですね」
夾「は?」
小龍「だって、そうじゃないですか。窮地を救ってくれた相手ですよ。少なからず好意は抱くはずです。そして、夾様はあの娘を伴侶に迎え入れる。万々歳ですね」
夾は、伊織×高松、桜×夾の絵面を思い浮かべる。
首を横にふる夾。
夾「迎えに行こう。今すぐに!」
夾は、神社の外の草むらに降り立った。小龍も続く。
小龍「早くそうすれば宜しいのに。伊織様を発見して、もう一週間も経ちましたよ」※呟き。
〇再び瑞希の部屋
瑞希は、警戒するようにカーテンをシャッと閉めた。
伊織は首を傾げながら瑞希を見た。
伊織「瑞希さん?」
瑞希「追手が来た」
伊織「え? 追手? でも、どうして分かるんですか? 電話とか鳴ってないですよね?」
瑞希「説明は後だよ。ひとまず、その押し入れの中に入ってて」
伊織「は、はい」
伊織は言われるがまま、押し入れの中に入る。
瑞希「絶対に出てきちゃダメだかんね」
伊織「はい」
ピシッと襖が閉まると、瑞希は窓(二階)から外に飛びおりた。
〇高松家の家の前
人型の夾と小龍(現代人風)、そして瑞希(巫女姿)が対峙する。
瑞希「まさか龍神が直々に迎えに来るなんてね。想定外だよ」
夾「それは、こっちのセリフかな。部外者が入って来ないでくれる?」
瑞希「あたしの超協力な結界まで破っちゃってさ、神崎の連中に見つかったらどうすんのさ」
夾「伊織を守ってくれたことには感謝する。けど、僕の伴侶返してもらうね」
瑞希「嫌だね。あの子は、ここにいる方が幸せなんだよ。わざわざ酷い仕打ちが待っているのが分かってて、返せるわけないだろう」
夾「それは……」
小龍「夾様、酷い仕打ちをするのは神崎の人間です。夾様がしっかりと監視なされば大丈夫ですよ」
夾「分かってる」
夾(けど……残り二週間も、あんな家に帰すのか)
心が揺らぐ夾。
瑞希「あなたもあなたよ。わざわざ人間を伴侶に選ぶだなんて。何がしたいの?」
夾「伊織を解放する為だ」
瑞希「自己満足にも程があるわ。それで、彼女は幸せになれると?」
瑞希の爪が鋭く伸びた。
そして、姿勢を低くしながら夾目掛けて走りだす。
瑞希「誰でも良いなら妹の桜を伴侶にしてあげてちょうだい。あれは救いようがないから!」
瑞希は、夾の目の前で立てた爪を斜めに振り下ろす。後ろに跳んでかわす夾。
夾「同感だよ。あそこまで落ちぶれた人間がいるなど、想像もしなかった。けど、僕にも選ぶ権利がある」
距離をあけた夾は、天に向かって手を翳す。それを振り下ろせば、瑞希の真横に雷が落ちた。
夾「これ以上僕の邪魔するなら、容赦しないよ」
瑞希「ふん、望むところよ」
瑞希は、前かがみになり両手を前に垂らした。すると、人の三倍はある大きな真っ白い犬の姿になった。



