あっという間に夕方になった。
昼間は人が来ることはなかったので、ずっとポストとお話しをしていた。
小学生の大群は、帰りは僕に挨拶をするだけだった。誰か、話してくれる人はいないかな。
そう思って、ぼんやりと遠くの海を見つめていると、
「あ、猫だ」
という、聞き慣れない声がした。
初めて見る男の子だ。知らないにおいがする。でも、隣にはずっと前から友達のリコちゃんがいる。
「この猫ね、ぽすちゃんっていうの!ずっと前からここに座ってる」
「へー、可愛いね。俺、猫好きなんだ」
あ、可愛がられた。
きっとこの男の子も優しい人なんだ、だって僕のことを可愛いっていう人に悪い人はいないもの。
「海斗くん、西中卒業だもんね。南中通ってた人は、みんな知ってるんだよ」
「いいなあ、俺も中学のときから猫に見守られて登下校したかった」
「ふふっ、南中の人の特権だからね!」
あれ、リコちゃんって、こんなふうに笑ったっけ。
「俺が莉子と同じ中学校だったら、いつも一緒に家まで帰れたのに」
男の子は、独り言のように、ぼそっとそう言った。
リコちゃんの顔が、ほんわり赤くなったのがわかった。
リコちゃん、今までこんな表情したことなんてなかったのに。どうしたんだろう。
少しして、二人は僕にバイバイと言って帰っていった。
なんか、不思議な感じだったな。
ずっとリコちゃんの表情にもやもやしていた僕の元へ、ドドドドと音を立てて女の子が猛スピードでやってきた。
あれ、リコちゃんじゃない?
「ねえ、ねぇねぇねぇねぇ!!」
リコちゃんはニコニコで、僕の顔をわしゃわしゃした。
「私、海斗くんと付き合ったんだよーっ!!さっきから心臓がどきどきして、もう、どうすればいいの…!?」
リコちゃんはこの上なく嬉しそうな顔でそう言う。
付き合った、って、何?
「恋だよ、ぽすちゃん。恋」
恋?恋って、そんなに嬉しいものなのかな。恋と付き合うって同じことなの?
でも、リコちゃんもさっきの男の子も、二人とも幸せそうだった。
心の中で甘い飴玉がころんと転がるような、そういう感覚なんじゃないかな。
「私たちね、先週付き合い始めて、今日初めて一緒に帰ってきたの。海斗くんが私を家まで送るって言ってくれてさ、もうかっこよすぎない!?」
そんなにはしゃいだら誰かに見られちゃうよ、リコちゃん。
昼間は人が来ることはなかったので、ずっとポストとお話しをしていた。
小学生の大群は、帰りは僕に挨拶をするだけだった。誰か、話してくれる人はいないかな。
そう思って、ぼんやりと遠くの海を見つめていると、
「あ、猫だ」
という、聞き慣れない声がした。
初めて見る男の子だ。知らないにおいがする。でも、隣にはずっと前から友達のリコちゃんがいる。
「この猫ね、ぽすちゃんっていうの!ずっと前からここに座ってる」
「へー、可愛いね。俺、猫好きなんだ」
あ、可愛がられた。
きっとこの男の子も優しい人なんだ、だって僕のことを可愛いっていう人に悪い人はいないもの。
「海斗くん、西中卒業だもんね。南中通ってた人は、みんな知ってるんだよ」
「いいなあ、俺も中学のときから猫に見守られて登下校したかった」
「ふふっ、南中の人の特権だからね!」
あれ、リコちゃんって、こんなふうに笑ったっけ。
「俺が莉子と同じ中学校だったら、いつも一緒に家まで帰れたのに」
男の子は、独り言のように、ぼそっとそう言った。
リコちゃんの顔が、ほんわり赤くなったのがわかった。
リコちゃん、今までこんな表情したことなんてなかったのに。どうしたんだろう。
少しして、二人は僕にバイバイと言って帰っていった。
なんか、不思議な感じだったな。
ずっとリコちゃんの表情にもやもやしていた僕の元へ、ドドドドと音を立てて女の子が猛スピードでやってきた。
あれ、リコちゃんじゃない?
「ねえ、ねぇねぇねぇねぇ!!」
リコちゃんはニコニコで、僕の顔をわしゃわしゃした。
「私、海斗くんと付き合ったんだよーっ!!さっきから心臓がどきどきして、もう、どうすればいいの…!?」
リコちゃんはこの上なく嬉しそうな顔でそう言う。
付き合った、って、何?
「恋だよ、ぽすちゃん。恋」
恋?恋って、そんなに嬉しいものなのかな。恋と付き合うって同じことなの?
でも、リコちゃんもさっきの男の子も、二人とも幸せそうだった。
心の中で甘い飴玉がころんと転がるような、そういう感覚なんじゃないかな。
「私たちね、先週付き合い始めて、今日初めて一緒に帰ってきたの。海斗くんが私を家まで送るって言ってくれてさ、もうかっこよすぎない!?」
そんなにはしゃいだら誰かに見られちゃうよ、リコちゃん。



