廃都市の廃一軒家。
午前九時。
アクゼリュスは黒革の制服を血で汚し、肩まで乱れた白髪を振り乱して歩いていた。白濁した瞳は興奮に震え、背に負った巨斧〈惨戯〉が、鈍く重い音を響かせる。今日は休息の日。だが、彼にとって休みとは、獲物を味わうための時間にほかならなかった。

「パライタ……祭儀の時間だ」

血の匂いが濃く漂う回廊の奥。
少年は壁に背を預け、腕に膝を抱え込んでいた。青緑の髪は汗に濡れ、海のような瞳は恐怖で潤んでいる。首輪の鎖は外され、代わりに血の痕が首筋に刻まれていた。

アクゼリュスはその腕を無造作に掴み、床に引きずる。
「立て……今日も痛みを共有してやる」

少年は震えながら立ち上がる。
男は巨斧を壁に立てかけ、肩を掴んで近くに引き寄せる。
「震える……いい音だな」

回廊の中央、血痕の残る冷たい床。
アクゼリュスは少年を押し倒し、黒革の手袋越しに頬を撫でた。
「今日は、僕がすべてやってやる」

彼は少年の服を乱暴に裂き捨てる。
「汚い……洗え」

浴室へ。
血と鉄の匂いが混じる空間で、アクゼリュスは蛇口をひねり、熱湯を浴びせる。
「自分で洗え」

少年は震える手で身を擦る。
男は壁にもたれ、腕を組んで眺めながら言った。
「背を向けろ」

少年はおびえたように身をすくめ、背を見せる。
アクゼリュスは無言で石鹸を取り、乱暴に背を洗った。動きには容赦がないが、血を新たに流さぬ程度の加減は保たれている。

「首もだ」
彼の指が首筋を掴む。
パライタは小さく息を詰め、肩を震わせた。
「震える……もっとだ」

浴室を出ると、男はタオルで少年の体を乱暴に拭う。
「着替えろ」

クローゼットから、黒いタンクトップと短いパンツを取り出す。
アクゼリュスは少年にそれを着せ、鎖を再び首にかけた。
「祭儀の支度をしろ」

回廊に戻ると、少年を床に座らせる。
男は〈惨戯〉を手に取り、床を軽く叩いた。
「今日は痛みを味わえ」

斧の柄で太腿を打つと、赤い痕が浮かび、少年は小さく声を上げる。
「いい悲鳴だ……もっと聞かせろ」

男は少年の髪を掴み、顔を上げさせた。
「僕のものだ……壊れるまで」

静かな午後。
回廊には血の匂いと、少年の震える息が満ちる。

「……寝ろ」
アクゼリュスは少年を抱き上げ、血に染まったベッドへと運んだ。
パライタは小さく頷き、シーツに身を沈める。

男はベッドの端に腰を下ろし、無造作に少年の髪を撫でた。
「明日も祭儀だ……僕の獲物」

白濁した瞳が、海色の瞳を捕らえる。
少年は震えながら視線を外し、静かに目を閉じた。
アクゼリュスは巨斧を脇に置き、少年の隣に横たわる。腕を回し、その細い体を抱き寄せる。
「苦痛こそ正義……君も味わえ」

乱れた白髪と青緑の髪が絡み合う。
血の回廊、二人の影は残酷に重なり合い、痛みの祭儀へと溶けていった。