おまけ ソガルの本音

部屋の灯りが消え、鍵が二重に掛かる。ソガルは壁に背を預け、毒の微笑を剥ぎ取った。白い髪が乱れ、白色の瞳は床の闇を睨む。

……また、今日も。

指先で顎を撫でる。触れた感触は、自分の肌なのに、腐っているように感じる。

シムズミ。
お前は、僕の鏡だ。
灰色の瞳に、僕の腐った心が映る。
全部、僕のせいだ。

舌打ち。音が、静寂を裂く。

真実は毒。
知れば知るほど、腐る。
だから、僕は毒を撒く。
お前にも、世界にも、僕自身にも。

拳を握る。爪が掌に食い込む。血が滲む。

でもな、
お前だけは、腐らせたくない。

息を吐く。白い息が、冷たい空気に溶ける。

お前の不動心は、
僕の言い訳だ。
お前が動かないから、
僕は、触れなくていい。
傷つけなくていい。

声が、初めて掠れる。

お前が目を覚ましたら、
僕を、憎んでくれ。

最後に、囁く。

……それが、
僕に残された、唯一の救いだ。

…………やっぱ、先に逝くわ。