おまけ ガシャバの本音
鋼板の扉が閉まり、鍵が三重に鳴る。
廊下の蛍光灯が冷たく照らす。
ガシャバは壁に背を預け、刈り上げた白髪を指で掻き上げた。
無機質な眼は、床の一点を射抜いたまま、動かない。
……点検、終了。
革手袋を外し、ポケットにしまう。
指先が、わずかに震えている。
秩序。
秩序。
秩序。
呟くたび、声が掠れる。
僕は、壊すために生まれた。
壊して、整えて、また壊す。
それが、僕の役目だ。
拳を握る。爪が掌に食い込む。
でもな、シムズミ。
お前だけは――壊したくない。
息を吐く。白い息が、冷たい空気に溶ける。
お前の灰色の瞳に、僕の過去が映る。
壊された少年。
壊した大人。
全部、僕だ。
壁に額を押し当てる。
だから、薬を打つ。
髪を梳く。
毛布を掛ける。
……全部、僕の贖罪だ。
声が、初めて震える。
お前が目を覚ましたら、僕を、殺してくれ。
最後に、囁く。
……それが、僕に許された、唯一の秩序だ。
傍から見てたソガルの意見
「こいつ今すぐ自殺した方が良い」
鋼板の扉が閉まり、鍵が三重に鳴る。
廊下の蛍光灯が冷たく照らす。
ガシャバは壁に背を預け、刈り上げた白髪を指で掻き上げた。
無機質な眼は、床の一点を射抜いたまま、動かない。
……点検、終了。
革手袋を外し、ポケットにしまう。
指先が、わずかに震えている。
秩序。
秩序。
秩序。
呟くたび、声が掠れる。
僕は、壊すために生まれた。
壊して、整えて、また壊す。
それが、僕の役目だ。
拳を握る。爪が掌に食い込む。
でもな、シムズミ。
お前だけは――壊したくない。
息を吐く。白い息が、冷たい空気に溶ける。
お前の灰色の瞳に、僕の過去が映る。
壊された少年。
壊した大人。
全部、僕だ。
壁に額を押し当てる。
だから、薬を打つ。
髪を梳く。
毛布を掛ける。
……全部、僕の贖罪だ。
声が、初めて震える。
お前が目を覚ましたら、僕を、殺してくれ。
最後に、囁く。
……それが、僕に許された、唯一の秩序だ。
傍から見てたソガルの意見
「こいつ今すぐ自殺した方が良い」



